こんな天地人が見たかった!5

1日曜8時の名無しさん2014/01/19(日) 21:10:52.37ID:I3lBvJob
いつも国替えは突然じゃな。

267日曜8時の名無しさん2017/03/23(木) 08:38:34.79ID:ZkbYz/um
【青戸6丁目住民一同の告発】
秋葉原通り魔事件で逮捕された加藤智大氏は、明らかに冤罪

https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%8A%A0%E8%97%A4%E6%99%BA%E5%A4%A7%E3%80%80%E5%86%A4%E7%BD%AA
(※57分の動画を見て下さい)

268日曜8時の名無しさん2017/04/09(日) 22:39:10.41ID:uqbAZIUb
第四十五話「利休」(13)

「大和大納言様、ご逝去された由、二十二日のことでございまする」
上杉の諜報機関を握るお船が、景勝と兼続が話し込んでいる部屋に入ってきて
報告する。
やはり
「よいお人は長生きしませぬな」
「本当に、寛容なお方じゃった。助けられた諸侯も多かったじゃろうに」
「われらも、いろいろお世話になった」

「葬儀は、大和郡山城で、数日後に行われる由」
「われらも、惨烈せねばなるまいて」

「伊達殿が、そろそろ都に到着するようでございまするな」
「さて、秀長公が亡くなった直後に、伊達が来るのか。
一揆を使嗾した罪で、改易されるかもしれぬ」
「大きな政治的な変動が起きるかもしれぬなあ」

269日曜8時の名無しさん2017/04/17(月) 23:10:43.47ID:iDSey+BD
第四十五話「利休」(14)

「今日の伊達は、流石でしたな」
聚楽第で、伊達政宗の査問があった夜、上杉屋敷で兼続が、お船に報告している
「ふうむ、伊達殿はうまく切り抜けられたのか」
考え込むお船。細い指で顎を支える。
「伊達殿の家臣が蒲生殿のところに逐電し、伊達殿が一揆の首謀者に出した書
簡も蒲生殿の手に落ちたと聞いたが、いかに申し開きしたのじゃ」
「伊達殿は、偽物である、真筆であれば鶺鴒の花押の眼に針で穴を通しておる
はずなのに、この書簡には、穴がないと申し開きしたのでございまする」
「みな、驚いたじゃろう」
「はっ。関白殿下をはじめ居並ぶ諸侯が、どよめきました」
「おそらく、伊達殿が一揆を使嗾したのは事実じゃ、葛西や大崎で大きな一揆を
起こして、混乱のなか木村殿を討ち果たして、自分の領地にしようとしたのじゃ」
「それがしも、そうじゃと思いまする」

「関白殿下もだまされたということか」
「いや、関白殿下も伊達の仕業であることは百も承知じゃと思いまする、
関白殿下は、伊達殿の器量に感心して、お許しになられたのじゃと思いまする」

270日曜8時の名無しさん2017/04/28(金) 23:22:48.72ID:5oyRuqKg
第四十五話「利休」(15)

「まだ、葛西・大崎の一揆も鎮圧しているわけではない。
そのうえ、伊達を改易したら、奥羽は収拾のつかないことになる。
関白殿下の征明の戦がさらに遅れることになる。
関白殿下は、先まで深くお考えなのじゃろう」
流石、お船、大局のわかったことを言う。

「そういえば、利休様が、関白殿下の御不興を蒙って、都を追放されたとか」
「利休様は、長く枢機に参画されてこられたお方、われらごときでは、うかがい
しれない事情があるのだと思われまする。下手に、関係して、大やけどするやも
しれませぬな。見て見ぬふりをするのが、一番かと」
上杉家の家老として保身の術に、さらに磨きをかける直江兼続である

271日曜8時の名無しさん2017/04/30(日) 23:01:45.15ID:KRe4E7X0
第四十五話「利休」(16)

「ご家老様、石田治部殿がお見えでございまする」
「お通しせよ」
何の用じゃろ。奥羽から帰ってきても忙しそうじゃが。悪い予感しかせぬが

「やあ、やあ。奥方、相変わらず、お美しいのう」
勝手知ったる他人の家、我が物顔にふるまう石田治部、自然に上座に座り
「手土産を持ってきた。これで一杯やらんか」
なんじゃ
「近江の鮒ずしじゃ。領民の献上品じゃ」
「そういえば、こたび近江十九万四千石の大名になられたそうで、お慶び申す」
「いやいや。関白殿下の御厚情にお応えするため、粉骨砕身するのみじゃ」
まんざらでもない様子の石田。
「まあ。一献。ところで、奥羽の情勢は、どうなっておるのじゃ」
「それより、そなた伊達をどう思う」
石田、あいかわらず、自分勝手だ
「伊達殿は、流石じゃな。花押の鶺鴒の眼に針で穴を通しておくなど、余人には
考えもつかぬからくりじゃ」
「奥羽の田舎者の考えそうな小細工じゃ」
憎々しげに石田が吐き捨てる

「ご用意ができました、さあ、こちらへ」
酒の肴を用意していたお船も話に加わる
「石田様は、伊達様をどうしたいのでしょうや」
お船が、やんわりと聞く

272日曜8時の名無しさん2017/05/01(月) 20:20:11.11ID:Ms7q1n4y
ヨロクかわいいー
輝虎ブキミー

273日曜8時の名無しさん2017/05/03(水) 23:00:32.37ID:23mspzsf
第四十五話「利休」(17)

「伊達殿は、なかなか風流なおひとでござるな。
詩歌に優れ、芝居気もある。関白殿下は、面白がっており、お気に入りじゃ、
しかし、野性が抜けておらぬ。機会があれば、四方を併呑しようと、虎視眈々じゃ
檻の中にいれて、矯正せねばなるまいな」
どういう意味じゃろう。
「四国に国替えという噂もあるようじゃが」
「大事の前の小事じゃ。われらは、征明の戦を控えておる。
いたずらに混乱を起こすような種をまくことはあるまい。
しかし、これはあくまで私見じゃ。関白殿下のお考えは、伺いしれぬものがあるのでな」

274日曜8時の名無しさん2017/06/04(日) 22:22:22.24ID:a6fy2kv9
第四十五話「利休」(18)

「これは、珍味でござるな。魚というより牛の乳に近い味がいたしまするな」
「一年以上漬け込んでおった逸品じゃということじゃ。うまいじゃろう」
石田、何かを思い出したらしく、風呂敷包みを開ける
「直江、よいものをみせてやろう」
おおきな日本地図じゃな、

畿内 百四十万石
東海 四百九十五万石
東山 五百五万石
北陸 二百四十二万石
山陰 百十八万石
山陽 百六万石
南海 百四十万石
西海 三百六十二万石
合計 二千百八万石

「日本国の石高じゃ。陸奥と出羽の検地が済めば、完成する。
一万石あたりの動員兵力を、二百五十人とすると、五十万動員できることになる」
「軍役の基準というわけじゃな」

275日曜8時の名無しさん2017/06/18(日) 22:01:35.22ID:juCYuO2o
第四十五話「利休」(19)

「ところで、直江。上杉に、奥羽への出兵を頼みたいのじゃ」
やはり、悪い予感が的中した兼続である
「伊達が上洛して、大崎・葛西の一揆が再燃したのじゃ
九戸の謀反も本格化しておる。
秀次公を総大将に、徳川殿など東国の武将を挙った圧倒的な大軍で鎮圧するつもりじゃ
それで、助勢をたのみたい」
頼んでいるようには、見えない石田である
「関白殿下より、正式なご命令がでるじゃろうが、心づもりをしておいてもらいたい」
用が済んだ石田、立ち上がり、
「わしは、これから九州に行かねばならぬ。ああ、忙しい、忙しい」
確かに、奥羽に派遣されたと思たら、次は九州、余人を以て代えがたい能力の持ち主だから
使いまわされておるのじゃな

276日曜8時の名無しさん2017/06/18(日) 22:17:27.27ID:juCYuO2o
第四十五話「利休」(20)

「出兵は、春先になるじゃろうが、さきにわしが国元に帰り、準備をしよう」
景勝に報告すると、景勝は、先に帰国するという、戦に目がないのは、先代譲りじゃな
「与六、そなたは残余の兵を率いて、ゆるゆる帰国せよ」
早速次の日に、わずかな旗本を率いて帰国する景勝である

「御館様は、武人じゃから、血が騒ぐのでしょうか」
「御館様は、宮廷政治が苦手なのじゃ。まあ、好きなものもおらぬじゃろうが。
これ幸いと、増援要請を口実に帰国されたのじゃ。そして、この選択は正しい。
秀長公が亡くなってより、権力構造が変化しておる。
利休殿の、京都追放も変化の現れじゃ、
触らぬ神に祟りなしじゃ」
流石、お船、相変わらず、鋭いことを言う
勉強になるわー

277日曜8時の名無しさん2017/06/25(日) 23:10:46.02ID:DkWbZOOt
第四十五話「利休」(21)

「直江、そなた上杉の軍勢を率いて、利休の屋敷を警護せよ」
警護!何のために。聚楽第内の利休屋敷をけいごするのじゃ
「細川忠興や古田織部が奪還のため兵を動かすやもしれぬ、充分注意すべきじゃな」
「承りました。増田様」
使者として、関白殿下の命令を伝える増田長盛に応答する兼続である
しかし、大変なことになったな
お船殿に相談しなければなるまい

278日曜8時の名無しさん2017/07/02(日) 19:39:28.10ID:QNz6Lm1z
第四十五話「利休」(22)

「増田様がお見えになったとか、どういうことじゃろう」
「石田が不在でございまする。利休殿と、さほど親しくなく、軍勢が揃っておるから、お鉢が
回ってきたのでしょうや」
「それに、上杉というかそなた自身が信頼されておるということじゃな」
「困りまする。事情も分からぬのに、難しいお役目をおしつけられて」
直江夫婦、いつものように激論中。お家の浮沈がかかっておるから当然である

「誰か、事情通のお方にお伺いする必要がありまするな」
「古田織部殿や細川忠興殿に聞いてみるか」
「かえって拗れるのでは。それに関白殿下に痛くもない腹を探られるやもしれませぬ」
「そうじゃなあ。誰かおらぬか」
「細川幽斎殿は、どうじゃろう」
「忠興殿の御父上じゃし、われら上杉とも、謙信公以来の友誼がある名案かもしれませぬな」

279日曜8時の名無しさん2017/07/09(日) 00:02:11.02ID:MAygSUKx
第四十五話「利休」(23)

「夜分、すまぬのう」
細川幽斎、兼続の出した使者と一緒に、上杉屋敷にやってくる
「聞いたぞ。直江が利休屋敷を警護することになったそうじゃな」
話が早い、幽斎殿も、苦慮されておるようじゃな
「それがしの妻でございまする、こちらへ」
「おお、上杉の諜報を取り仕切る才女じゃと聞いておるぞ」

「幽斎様、いろいろ教えていただきたいのでございまする」

280日曜8時の名無しさん2017/07/09(日) 22:45:07.04ID:MAygSUKx
第四十五話「利休」(24)

「細川様、利休様の屋敷の警護を命ぜられておりまする。
増田殿のお話では、古田織部殿やご子息の忠興殿が、利休様の身柄を奪還せんと
するやもしれぬので、警戒せよとのことでありました、
一体何が起きておるのでござりまするか」

「世情言われておるのは、大徳寺山門の利休像が不敬にあたるとか。
何のこじつけでござりまするか」

直江夫婦、かわるがわる細川幽斎に質問する
細川幽斎、本能寺の後、家督を息子・忠興に譲るも、秀吉の御伽衆の一人として重用されている
お気に入りの一人である、また、利休とも親しく、利休が京より追放されたとき、見送っている。

281日曜8時の名無しさん2017/07/18(火) 22:30:41.43ID:lP50FZvs
第四十五話「利休」(26)

「大徳寺山門の二階に雪駄履きの利休像を設置し、その下を関白殿下に通らせようと
したことが増上慢であると批判されたこと。また、大徳寺山門改修の費用を捻出する
ため、安物の茶器を高値で売却したことが売僧の所業と批判されたと聞いておりまするが」
お船が、細川幽斎に尋ねる

282日曜8時の名無しさん2017/07/21(金) 23:27:05.93ID:EMR+PVBe
第四十五話「利休」(27)

「口実じゃ。後付けの口実にすぎぬ。山門など二年も前の話じゃ。
利休殿は、天下一の茶人じゃ。天下一の利休殿が、よいと決めれば高くなるのは
当然のことじゃ。何の不思議もない。そんなことは、わしが初めて会った時から
やっていたことじゃ。昨日今日始めたことではない」
細川幽斎、熱弁を振るう

283日曜8時の名無しさん2017/07/22(土) 23:24:54.98ID:KbkitLkO
第四十五話「利休」(28)

「大徳寺の古溪上人をご存知か。先だって亡くなった秀長公の導師を務められたお人じゃ」
細川幽斎、長身雄大な身体をかがめ、声を細める
「古溪和尚は、大徳寺に総見院を創建し、信長公の菩提寺・天正寺の創建を関白殿下に任された
お方じゃ。しかし、小牧の陣で信雄様との講和が成立したので、天正寺の建設は中止となったのじゃ。
もともと、天正寺の建設は、信雄公と戦うための大義名分にすぎなかったのじゃからな。
ところが、古溪和尚は、納得せず、関白殿下に、再三反対の意見具申をしたので、関白殿下
の怒りをかい、九州に配流となった。大徳寺の山門は、古溪和尚が留守の間に、利休殿が
造られたものなのじゃ」

284日曜8時の名無しさん2017/07/24(月) 23:08:46.88ID:0ZfZ5N3B
第四十五話「利休」(29)

「大徳寺の山門・金毛閣というのじゃが、一休禅師を偲んで、連歌師の宗長というものが
造り始めたのじゃが、資金が尽きたのか、数十年放置されて負ったのじゃ。それを利休殿
が資金を出して、二階建てを完成させたので、大徳寺・古溪様は、利休殿の働きを多とされ
顕彰する目的にで利休殿の木像を造って、二階に安置したのじゃ。利休殿が、自ら進んで
造ったものではないのじゃ」
「では、そのことを申し開きして、お詫びすれば、関白殿下の御勘気も解けるのでは
ありませぬか」

285日曜8時の名無しさん2017/07/24(月) 23:17:47.96ID:0ZfZ5N3B
第四十五話「利休」(30)

「いや、利休殿が関白殿下にお詫びすれば、申し開きなどせずとも済む話なのじゃ、
前田利家様も何度も、お詫びするように説得を続けておる。北政所様などにお願いする
ようにも、説得しておるのじゃが、利休が強情なのじゃ」
「関白殿下は、利休殿がお詫びするのを待っておられるということでありまするか」
「そうじゃ。なんといっても、利休は関白殿下が天下一の茶人に仕立て上げた関白殿下
の駒、大事な駒じゃからな」
透徹した人間関係理解を披歴する細川幽斎、醒めたところが足利義昭・信長・秀吉と
主君を変えても、誰からも後ろ指さされない遊泳術なのじゃろうか

286日曜8時の名無しさん2017/07/29(土) 23:30:34.82ID:vX5kK0bV
第四十五話「利休」(31)

「利休殿には、お詫びしたくない心情のようなものがあるのでしょうか」
絶体絶命なのに、死ぬことも恐れてはいないのじゃろうか

そういえば、関白殿下が利休殿の庭の朝顔が満開なことを聞きつけ、見に行ったら
すべてむしり取られており、床の間に一輪だけ飾っておったと聞くが、一歩間違えば
御不興を蒙ったやも知れぬ。一輪しかない朝顔が萎れたら、どうするつもりだったのじゃろうか
利休殿は関白殿下と命懸けで戦っていたということなのじゃろうか

「それがあるのじゃ。関白殿下は御かわりになられた。側近として関白殿下の覇業に
協力してきた利休殿には、失望があるのじゃ」

287日曜8時の名無しさん2017/07/30(日) 23:11:05.12ID:Akwahaua
第四十五話「利休」(32)

「利休殿は信長公の茶頭じゃったお方じゃ。
信長公は、茶の湯御政道と称されて、茶の湯に特別な意義を付与された
茶の湯は、恩賞として許可されるものじゃった
関白殿下も中国戦線での功績により、はじめて茶の湯を嗜むことを許可された
いわば、関白殿下にとって、利休殿は、信長公と関連付けて記憶される仰ぎ見る存在
なのじゃ」
ふうむ
「関白殿下は、織田家内の政治工作の際、利休殿の人脈を利用した。
そして、利休殿も、関白殿下を信長公を超えていかれるお方ということで、喜んで
尽くしてこられたのじゃ。正親町天皇への献茶、北野大茶湯、どちらも関白殿下の
政治力の伸長のための大きな出来事じゃった」

288日曜8時の名無しさん2017/08/01(火) 22:59:33.38ID:NE3VQX22
第四十五話「利休」(33)

「若い頃の、というか本能寺以前の関白殿下は、朗らかで前向きな働き者じゃった
それに、よく気が付く、誰にも優しいお人じゃったな。
関白殿下に一度でも会えば、誰でも好きになる。このお方のために、働きたいと思う
人気のあるお方じゃた。それゆえ、関白殿下が織田の政権を簒奪しても、織田家中は
従ったのじゃ。誰しも、若い頃の関白殿下を知っておったからのう。
ところがじゃ、関白殿下は、変わられた。
そなた、昨年冬の落書の事案を知っておるか?¥」

289日曜8時の名無しさん2017/08/13(日) 23:14:17.78ID:RTx0XnlP
第四十五話「利休」(34)

「聚楽第の落首のことでござりまするか」
「そうじゃ、聚楽第の南鉄門に夜陰に落首したものがあったのじゃが、
激怒された関白殿下は、番人七名を残酷に処分した。一日目に鼻を削ぎ、二日目に
耳を削ぎ、三日目には、逆さ磔にしたのじゃ。それだけではない、関与を疑われた
者の親族まで、七歳から八十歳までの者共が百余名、六条河原で処刑されたのじゃ」
なんと、残酷な話じゃ

290日曜8時の名無しさん2017/10/03(火) 23:24:17.70ID:keaj9OqG
第四十五話「利休」(35)

「われらも戦国を生きる武士じゃから、極悪非道な所業を積み重ねてきておる。
だまし討ちも数知れず、無辜を殺傷したこともある。しかし、すべて、理由が
あることじゃ。関白殿下も、播磨平定の際には、一城皆殺しにされたこともあったが
理由があったことじゃ。しかし、今回の刑罰はなんじゃ。理がないのではないか」

291日曜8時の名無しさん2017/11/03(金) 23:10:42.73ID:A4UP8pFn
第四十五話「利休」(36)

確かに、冷静な関白殿下にしては、不可思議なふるまいじゃな
「よほど、逆鱗に触れるような内容の落書だったのでございましょうな」
それとも、何かほかの魂胆があっての振舞なのじゃろうか
「土民どものやることなど、目くじら立てずに、笑っておればよいものを。
今回の一件で関白殿下は、京の輿望を失ったこととあいなった
武士を船に例えれば、民草を船を浮かべる水のようなものじゃ
なんでもやってよいというわけではない」
細川幽斎、かなりはっきりものを言う

292日曜8時の名無しさん2017/11/12(日) 22:09:48.06ID:OS/Gue9+
第四十五話「利休」(37)

「お館様より、お手紙が届いておる」
先日、帰国した景勝さまは、部府帰国されたようじゃな。
「春になれば、娘のお松を京に上らせるというて下されておられる」
なんと
「なんでも、お転婆が過ぎて、乳母の手には負えないそうじゃ。
母親の手元で育てるのが一番じゃということじゃ」
「有難いお話でございまする」

「関白殿下も、鶴松君の行く末を心配されて心を乱されておるやもしれぬな」
突然、するどいことを言うお船。

293日曜8時の名無しさん2017/11/12(日) 22:54:58.44ID:OS/Gue9+
第四十五話「利休」(38)

「動員兵力は千三百余、完全武装で蟻のはい出る隙間もない警備をするのじゃ。
妙な気を起こすお人が出てこぬようにな」
翌朝、部署を定める兼続
「古田織部殿や細川忠興殿に使いを出して、ご挨拶しておいたほうがいいのではないか」
お船が念入りな作戦を思いつく
「そうですな。丁寧な口上をいわせましょう」
まさかとは思うが、京の都で市街戦をするわけにはいかぬからな。
それこそ、鼎の軽重を問われる事態になりかねぬ

294日曜8時の名無しさん2017/11/27(月) 23:04:58.77ID:RhLvqnbg
第四十五話「利休」(39)

「直江山城様、主人がおもてなしをしたいと申しておりまする」
利休の下人が、兼続を呼びに来た。
なんという胆力、いつ殺されるかもしれないのに。
茶の湯の大成者ともなると、そこらの武将より肝が据わっておるようじゃ
「有難い。それがしも利休様にお目にかかりたいと思っておりました」

295日曜8時の名無しさん2017/12/27(水) 23:06:43.51ID:ASxws8ur
第四十五話「利休」(40)

招じられた茶室は、二畳の閉ざされた空間である
にこにこ笑みをたたえながら、流れるような所作でお茶を点てる利休
昨日より大徳寺山門の利休像が、さらされておる。
謝らない限り許さないという関白殿下の意志の現れじゃ
利休殿も百も承知じゃと思うが、一言詫びを入れればすむものを。
「結構なお手前で」
一期一会というが、本当に一期一会になってしまう。
「関白殿下は、利休殿がお詫びするのを十日ばかりお待ちになり、
とうとうしびれを切らして、利休殿の木像をさらされました。
関白殿下は、天下人。どんなに後悔していても、ご自分の出された指示を撤回することは
できませぬ」
「綸言汗の如しということですかな」
なんだ、利休殿もわかっておられるのか。

「関白殿下には天下を統べる力量と意志がございましたな」
悠然と昔話を始める千利休
「そこが柴田殿と違うところじゃったな」

296日曜8時の名無しさん2017/12/29(金) 22:54:54.82ID:dbbTzn5R
第四十五話「利休」(41)

「中川瀬兵衛殿殿をご存知か」
「山崎合戦で先鋒として奮戦し、賤ケ岳の戦いでは、佐久間盛政の猛攻にあい。勇戦
むなしく討ち死にされた勇将でございまするね」
「古田織部殿の義兄にあたるお人で、これは織部に聞いた話なのじゃが、山崎合戦の
あと、各陣を巡察した秀吉公は、瀬兵衛大儀と言い捨てて駕籠から下りもせず行ってし
まわれたそうじゃ。瀬兵衛殿は、もう天下人気取りかと言い返したそうじゃ。お二人は
仲良しじゃったからのう」
利休様、何のお話ですかな。
「関白殿下は、本能寺で信長公が亡くなったことを知った瞬間から、天下を意識されておったのじゃ。
信長公が亡くなって何をしてよいか、わからなくなった柴田殿や滝川殿とは、そこが違う」
お話の意図が読めませぬ

297日曜8時の名無しさん2017/12/29(金) 23:17:49.81ID:dbbTzn5R
第四十五話「利休」(41)

「それがしは、関白殿下がおつくりになられたものでございまする。
禁中献茶奉仕をさせていただき、利休の居士号も朝廷より賜った。
堺の一商人にすぎないのに、天下一の茶人といわれるようになった。
すべて、関白殿下のお引き立てによるものでございまする」
そこまで、わかっているのなら、一言お詫びしていただきたいのですが
しかし、重ねて説得の言葉をいえない兼続である

298日曜8時の名無しさん2018/01/07(日) 22:53:25.55ID:BkqWqrJz
第四十五話「利休」(42)

「関白殿下は、何事も一生懸命のお方でござりまするな。
信長公は、没頭しているようで、どこか醒めたところがあられた。
茶道の名物も収集して自慢されておったが、本当に心から、茶の湯がお好きだったのか
利休には、わかりませんでしたな。
関白殿下は、違う。
心から、全身全霊で、楽しんでおられる」
確かに、関白殿下は、冷静で考えの深いお方じゃが、なんというか、白けたところが
ないお人じゃな。諦めとか、限界とか、あまりお考えにならないのかも知れぬな。
遊ぶことも一生懸命、遊んでるんだけど、遊びがないのじゃ、打てば響くお方なのじゃ。
それゆえ、些細なことでも、立腹されるのじゃろうか。
とことん真面目なお方なんじゃろうな。
「関白殿下は、信長公を超えようとされ、超えたと思われておられる。
しかし、それは違う」

299日曜8時の名無しさん2018/01/08(月) 03:39:57.12ID:ZCfTy3RT
タイガドラマモオモシロイケドオススメノジョウホウ
グーグル検索⇒『立木のボボトイテテレ』

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300日曜8時の名無しさん2018/01/16(火) 22:25:46.25ID:h6lUReNS
第四十五話「利休」(43)

「関白殿下は、信長公の構想をなぞっておるに過ぎませぬ」
「徳川様が最後の客人かと思うておりましたが、最後に直江殿にお目にかかれて幸せで
ございました」

301日曜8時の名無しさん2018/01/25(木) 22:30:47.13ID:9MgEjprL
<反省会>

「利休様って、理解するのが難しいお方じゃのう」
「御意。考えなおさねばなりますまい。時間を空けて、考えましょう」

「ところで新しい大河、いかがなものでしょうか」
「筆者は、司馬遼太郎大好き人間で、特に「翔ぶが如く」は朝日新聞に連載されていた
頃から愛読しており、どうしても比較してしまうのじゃ。
「翔ぶが如く」の原作は、明治以降の西郷の話だけど、大河は、脚本家の先生が
司馬先生の作品を上手く整理して、幕末編を付け足したのじゃ。特に、参勤交代というか、
斉彬の兵を率いて江戸に赴き、武力を背景に幕政の変革を迫る計画に焦点を当てたところが
秀逸じゃったな。結局、西郷の西南戦争は、斉彬の計画をなぞったものじゃ」
「斉彬公が生きておれば、幕末も相当変わったものになったでありましょうな」
「この時代の大名家では、毒殺が多かったようじゃな」
「堀秀政殿と同じように、水にあったったのではありませぬか」

「解説本を見てないから、原作も読んでないから、何とも言えぬが、面白ければいいな、
今までのところ、可もなく不可もないという感じじゃな。すこし、軽躁なところが鼻に
つくことが心配じゃな」

302日曜8時の名無しさん2018/01/30(火) 22:25:53.13ID:4tYaO/MZ
第四十六話「文禄」(1)

 天正十九年三月、南部家の家臣である九戸政実が挙兵、鎮圧に手間取る南部家当主・
南部信直は豊臣秀吉に、援軍の派遣を要請した。
同年六月、豊臣秀吉は、東国の諸将に援軍の編成を下令、総大将豊臣秀次以下、数万の
大軍の大軍が、九戸討伐に出陣することになった。

「われらは、最上領を通行することとあいなりました。毒殺には留意せねばなりますまい」
旗下の精鋭を本庄に殲滅され、庄内を奪回された最上義光は恨み骨髄のはずじゃ。
千載一遇の好機じゃと、お館様の毒殺を企図するやもしれぬ。
「くれぐれもご注意あそばすように、お願いいたしまする。
みなも、ここは戦場じゃと思え」

上杉軍が最上領に進入する

303日曜8時の名無しさん2018/02/10(土) 22:30:20.46ID:RRlip7hV
第四十五話「文禄」(2)

「しかし九戸政実は、何を考えておるんじゃろ」
景勝が、もっともな疑問を口にする。
天下の大軍を相手に勝ち目などないことも分からないのじゃろうか。

「家督争いが拗れておるようでございますな。九戸政実の弟も有力な後継候補じゃった
ようで、武勇に優れる九戸政実は、速戦して南部の当主を討ち取り、自分の弟を当主に
押し込んで既成事実化して、改めて関白殿下に承認してもらう心づもりだったのではあり
ますまいか」
軍監として同行する大谷刑部が懇切丁寧に教えてくれる。
「ところが、南部の当主殿は、徹底して決戦を回避して、関白殿下に救援を求めてきたので
ございまする、当主殿の作戦勝ちといったところでございまするな」
ほお。惣無事令の精神からいっても正しい進退なんじゃろうが、
しかし武士といえるんじゃろうか。

「各軍勢の部署は以下の通りでございまする。
白河口は総大将秀次公に徳川殿
津軽口は前田利家殿・利長殿
仙北口は上杉景勝殿
相馬口は石田治部、佐竹義重殿
これに地元の大名が参加することとなっておりまする。
予定される総兵力は六万余。この大軍で、奥羽の一揆を徹底的に鎮圧いたしまする」

304日曜8時の名無しさん2018/02/11(日) 21:41:09.70ID:iSIo3EUr
第四十六話「文禄」(3)

「最上義光も案外じゃったな」
行軍中の景勝がつぶやく。
そうなのだ。
精鋭を本庄に殲滅され、庄内を奪回されて恨み骨髄のはずなのに、そんなことはおくび
にも出さず、上杉勢の行軍に、いたれりつくせりのもてなしをする最上義光なのである。

「われらは、足利一門・斯波の嫡流でございまする。足利と上杉は、夫婦のような関係
を何百年も続けてまいりました。先祖同様こんごとも、よしなにお願いいたしまする」
おべんちゃらも言う最上義光。
流石に、調略のみで出羽に一大勢力圏を築き上げただけのことはある。
誠心誠意嘘がつける男じゃ。

「最上は、秀次公に取り入っておるようでございまするな」
ぬかりなく最上義光の周辺に細作を配置している兼続である。
「どうも、庄内の裁定で、われらに負けたため、関白殿下に取り入るのは諦めて、
秀次公を先物買いする気のようでございまするな」
「留意せねばならぬな」
われらは、関白殿下の側近、石田と親しい。親しすぎるほどじゃ。
しかしそれゆえ、秀次公に取り入るのは、危険なことなのじゃ。
石田に臍を曲げられて、関白殿下に讒言でもされたら、あっという間にお家滅亡じゃ。

「九戸攻撃を急がねばならぬのう」
今後のことを考えて功名をたてようとする景勝。
いや、これだけ道が悪いと、六万の大軍が集結すると、補給に詰まることになるじゃろ。
むしろ、出羽の一揆をひとつずつ、着実につぶすことのほうが肝要じゃ。

305日曜8時の名無しさん2018/03/21(水) 23:05:50.75ID:nnmqA6pK
第四十六話「文禄」(4)

天正十九年七月中旬、春日山城を進発した上杉勢は、八月下旬には旧葛西領内に到着した。
「このままでは九戸討伐に参陣できぬかもしれぬのう」
景勝は焦りを隠せない様子だ。
「此度の主役は伊達と蒲生殿でございまする。大崎・葛西の一揆を使嗾した疑い、まあ
本当は事実ですが、を挽回するために伊達は功名をたてようと必死でございまする。
蒲生殿も、競争相手の伊達に後れを取るわけにはまいりますまい」
兼続は、いつにもまして冷静に見ている。
「われらは、お指図に従っておればよいのでは。どうせ、恩賞も望めない戦でございまする」

306日曜8時の名無しさん2018/03/28(水) 22:03:55.73ID:H6dqZUpr
第四十六話「文禄」(5)

「伊達勢が葛西大崎の一揆を制圧したようじゃ。
降伏した一揆の首謀者を須江山というところに呼び寄せて、皆殺しにしたそうじゃ。
わしらは、土方のようなことをしておるのに」
景勝、普請ばかりさせられている現状への不満を滲ませながら、愚痴る。
「案外、一揆を使嗾した証拠を隠滅するためではありませぬかな」
冷静沈着な兼続である。
「死人に口なしでございまするよ」
腹黒さも増しているようである。

「都より急使でございまする」
「通せ」
「奥方様より書状でございまする」
お船殿がわざわざ送ってくるとは余程のことじゃな。
もどかしそうに、封を切った兼続、景勝に一礼して先に見る。
「ううむ」
「どうかしたのか」
「鶴松君逝去されたようでございまする」
「なんと。おいたわしい」
「正月頃お風邪を召されましたが、ご快癒されたと聞いておりましたが」
関白殿下も、落胆されておるじゃろうな。
後継者を失ったわけじゃ

307日曜8時の名無しさん2018/03/29(木) 23:11:34.87ID:p3f9h8G6
第四十六話「文禄」(6)

「徳川様のところにご挨拶にいってまいります」
葛西・大崎の普請の最高責任者・徳川家康のところに偵察にいくことを思いつく兼続
さっそく行動に移す。
徳川家康は、九戸討伐には井伊直政を派遣し、自身は大崎・葛西にとどまり、道路の補修や
岩出山に城の縄張りをしている。
「伊達殿のためにつくっておるという噂でございまするな」
「会津を没収されたのみで大崎・葛西を加増されるのであれば、伊達は大勝利じゃな」
苦い薬をのんだような景勝の顔である

308日曜8時の名無しさん2018/03/31(土) 23:49:07.91ID:8cgR/S4Z
第四十六話「文禄」(7)

「おお直江殿、久しいのう。此度は上杉勢にも骨折りをいただいた。御礼をもうす」
徳川家康、いつものように温容な雰囲気で迎えてくれる。

徳川様には徳がある。東国の大名は、みな心服し庇護を願っておる。最上など、次男を
小姓に出しておるほどじゃ。徳川様が九戸のように謀反を起こせば、東西を分かつ大戦に
なるじゃろうな。あらぬ方向に思考がそれる兼続。それゆえ、石田は警戒するのじゃ。

「九戸討伐も最終段階じゃな。前線は兵糧に困っているようじゃが、敵の本城に押し込
めておる。あと、一息じゃ」
「ところで」と兼続が切り出そうとしたところ
「伊達様がお見えです」
「お通しせよ」

「如何した伊達殿」
「それがしの領地、会津ばかりか米沢・伊達など本貫の地も没収されるという噂は真実
なのですか」
普段は冷静な伊達政宗も、今日ばかりは苛立っている口調で家康を詰問する。
傍にそれがしがいることに気がついてないようじゃな。
金箔の十字架を担いで入京し、書簡の鶺鴒の花押も目に針を通してないと申し開きして
一揆使嗾の罪を切り抜けたと安心していたら、関白殿下は一枚上手で、一揆と一揆鎮圧
で荒廃した葛西・大崎の地を治めさせることを企んでいたとは、流石じゃな。

「伊達殿、正式な命令は追ってくるじゃろうが、それは真じゃ。
そして岩出山がそなたの居城となる、わしが縄張りをした。こぶりじゃが、よい城じゃ」
「領地がここまで減らされると、家臣を養うことができませぬ、いっそ、すべての領地を
返上して、小姓になりたいくらいです」
伊達殿も徳川様に特別な親愛の感情があるようで、甘えたような無理筋のことを言う。

309日曜8時の名無しさん2018/04/02(月) 22:30:36.35ID:AARDlBZr
第四十六話「文禄」(8)

「それがしは、一揆扇動の汚名を雪がんとして、無理攻めをし、あまたの重臣・家来を
討ち死にさせておりまする。その結果が本領召し上げということであれば、それがしは
家臣に顔向けできませぬ」
たしかに。それに何千何万の一揆勢を殺して、そこを治めるということは難しいのう。

「関白殿下は、伊達殿の力量を買っておられるのじゃ。それゆえ難治の葛西・大崎を
任せるお考えなのじゃ。征明の戦闘序列が下令された。明との大戦がはじまるのに、
東国で一揆が再燃すれば、何もかも台無しじゃ。われら東国の領主は、責任重大なの
じゃ」
徳川家康、噛んで含めるように伊達政宗を諭す。
「それに、国替えは、悪いことばかりではないぞ。
わしも、先祖代々営々と経営してきた本貫の三河・遠江・駿河から関東に移されたばかりじゃ。
江戸は、川底みたいなところでな、地面を掘ると泥鰌がうじゃうじゃ出てくる。
毎日、泥鰌鍋じゃ。わしは、川の流れを変えるつもりじゃ。湿気が多すぎて体に悪い」
ふうむ。
「家臣も先祖伝来の地を離れて、わしが決めた石高の領地に分封した。
国替えによって、わしの意志が家中に貫徹できるようになったのじゃ。
徳川は国替えによって強くなったと言える」
伊達もそうすればよいと言わんばかりの徳川家康。
「しかし、徳川様は百万石加増されておられるわけで、それがしは半分に減らされておる
のですぞ」
「海があるではないか。海があれば、船で交易もできる。
そなたの若さ・才覚をもってすれば、前途は洋々じゃ
目先のことに囚われて焦ることはないではないか」
やはり、徳川様は重厚で篤実なお方なのじゃな。
危なっかしいところが欠片もない。家臣ばかりか、同僚たる諸侯の信望を集める所以じゃな

310日曜8時の名無しさん2018/04/04(水) 22:41:54.45ID:xKesBZoG
第四十六話「文禄」(9)

「伊達殿、お久しぶりでございまする」
兼続、伊達政宗に挨拶する。
「おお。これは気がつかなんだ。井伊か誰かと見間違えておったわ」
「ご承知と思いまするが、鶴松君ご逝去遊ばされた由。関白殿下も、さぞ落胆されて
おるのではござりませぬか」
「そうじゃな、秀次公が後継者になったというわけじゃな」

「しかし跡継ぎは難しいものじゃ。秀次公もこれからが大変じゃな」
家康がぽつりと独り言をいう。
跡継ぎの信康殿を殺してしまった家康公の言葉は重いのう。
信玄公も義信殿を殺しておる。権力の中心がふたつできるわけで、取り巻きも関係する
いよいよ、世渡りは難しくなるわけじゃな

311日曜8時の名無しさん2018/04/14(土) 21:32:23.24ID:0is/8KL+
第四十六話「文禄」(10)

「ところで、そなた利休殿に会われたそうじゃのう」
徳川家康、伊達政宗と兼続を茶室に招き入れる。
「はい。徳川様に宜しくお伝えくだされと仰せでございました」
「絶対的な権力の周辺では、予想もつかぬことがおきるものじゃ」

「利休殿が切腹された後、京には政道を批判する落書があったようでございまするな」
伊達政宗、言外に批判を滲ませる。

「関白殿下は、遠大な計略で京の街並みの大改造を行っておる。
やらねばならぬことなのじゃが、不満もあるのじゃろうな」
家康、言動は慎重細心だ。

312日曜8時の名無しさん2018/04/20(金) 23:02:58.97ID:njvzk8hB
第四十六話「文禄」(11)

「末世とは別にはあらじ木下の猿関白を見るにつけても という落首があったそうじゃな」
伊達政宗、情報通のところをみせる。
そういえば、利休殿が切腹する前に徳川殿・伊達殿は茶会に招かれておる、
伊達殿は最初で最後となったわけじゃが、
利休殿の最後に関係ある三人が茶会をしておるわけじゃが、偶然なのじゃろうか。

そこに本多正信が入ってきて、家康に書類を渡す。
「伊達殿、そなたの新しい領地は ええと これをご覧になればよい」
面倒になった家康、政宗に見せる。
「やはり米沢は没収されるのですか」落胆を隠せない伊達の声色。
「ものは考えようじゃ。領地が減らされたならば、新田開発・交易で補えばよい。
直江殿は、なかなかの民政家じゃ。方策をきいてみればよい」
徳川家康、なんでも知っておる余裕をみせる、それがしが、恐妻家ということもばれておるんじゃろうか。

313日曜8時の名無しさん2018/04/20(金) 23:16:18.06ID:njvzk8hB
<反省会>

「西郷どん なんか違うな。南野も頑張ってるし、なるべく悪い言いたくないのじゃが」
「原作を読んでないから、読む気もないけど、何とも言えぬが、基本を押えないと、
リアリティがなくなる。武家の娘が、一人歩きなど絶対にせぬことじゃ。篤姫様が
一人で外に出て行って、行方不明になったら、大騒ぎで、百人くらい腹切らないと
いけなくなるじゃろうね。縁談が進行中だったら、破談になるじゃろうね。
傷者になったと評価されるじゃろうね。
フィクションだから、杓子定規にキチキチ決めつける必要はないけど、基本は押えないと」

314日曜8時の名無しさん2018/04/22(日) 22:56:18.64ID:a5QYv5It
第四十六話「文禄」(12)

九月初旬、九戸政実は降伏し、反乱は平定された。
「なにやら、武勲の立てようのない戦じゃったのう」
景勝が不平を言う。
「明との大戦を控えておりまする。武勲を立てる機会は、山ほどございまする。
上杉の精鋭を損じなかったことを喜ぶべきかと。伊達は、重臣や名のある武者を相当
喪ったようでございまする」
兼続が慰める

315日曜8時の名無しさん2018/05/13(日) 22:39:47.88ID:+6l14GxR
第四十六話「文禄」(13)

「此度の戦勝おめでとうございまする」
秀次公の陣所に赴き、戦勝を賀する上杉主従である。
「骨折り大儀じゃった」
鷹揚に応じる豊臣秀次。
徳川、前田はもちろん、奥羽の諸将は全員集合じゃな。
みな、阿諛追従して取り入ろうと必死じゃ。

なにしろ、突然現れて、小田原に参陣しなかった領主を取り潰し、各地で蜂起した
一揆を圧倒的な大軍で制圧し、全土で検地を貫徹せんとする巨大な権力の後継者じゃから
無理もない。われらも、出遅れては、のちのち不味いことになるやもしれぬ。
特に、最上義光の取り入りようには警戒が必要じゃな。
庄内の裁定で、われら上杉が勝利したのは、石田などの肩入れがあったからじゃ、
それゆえ、最上は、関白殿下に取り入ることを諦め、秀次公に取り入ろうとしているのじゃ。
後々、庄内の裁定をひっくり返そうとしておるに相違ない。
最上が庄内を諦めるはずもない。海が欲しいのじゃ。

それにしても、いつものことながら、後味の悪い戦勝じゃな。
降伏してきた九戸政実を斬首にしたのは良いとしても、城兵も皆殺しにしたとは。
その必要はあったのじゃろうか。上杉が関わらなくて、むしろ良かったかもしれぬ。

「直江」
兼続が腹黒い悪だくみを考えていると、石田が傍に寄ってきた。
「上杉の軍役は五千じゃ、うち三千は渡海するつもりで準備してもらいたい」
初めて会った時から切れ者なのは知っておるが、最近は時間を手間をかけないようじゃ。

316日曜8時の名無しさん2018/05/13(日) 23:15:14.50ID:+6l14GxR
第四十六話「文禄」(14)

「石田、話がある」
祝宴の陣所から、石田を連れ出し、盗み聞きされないように見晴らしの良いところに
連れていく。

「本当に明と戦うのか。成算はあるのか」
「関白殿下は百戦百勝の名将じゃ。本能寺以来わずか十年で天下を統一した。
動員する将兵は、戦国を戦い抜いた精鋭じゃし、鉄砲の装備率もあがっておる。
明の軍勢が如何に強力であっても鉄砲の弾が当たれば死ぬじゃろ」
おそらく関白殿下の受け売りじゃろな。
「関白殿下は、確かに政戦両略の天才じゃ。戦に負けて逃げたことはあるまい。
そこが信長公や家康公と違うところじゃ。関白殿下の戦は、戦う前に勝利が確定しておる
圧倒的な物量の準備と綿密な調査が行われてきた。しかし、征明の戦はどうじゃ。
何も知らずに戦うことになるのではないか」
さらに畳みかける。
「それに、島津にしても、北条にしても、負けたがっておったのではないか。
関白殿下の政権の分国として生き延びることを考えてな。
ところが、明にそんなことが通用するのか。交渉が成り立つのか。
長恨歌を知らぬか。唐の皇帝は、京を謀反人の安禄山に占領されても、地方に逃げて
交戦しておるぞ。関白殿下は、朝廷の権威を背景に日本を平定したが、明にそれが通用
するのか。ともかく、情報が少なすぎる。そなたは、本当に成算があるのか」

317日曜8時の名無しさん2018/06/08(金) 23:50:35.57ID:Z3o3kb3Z
第四十六話「文禄」(15)

「関白殿下は、南蛮人の宣教師や博多の商人どもの話をよく聞いておられる。
われらには、わからぬ世界情勢をご存じなのじゃ。
南蛮のポルトガアルとかいう国が印度のモルカとかいうところを占領した。
これで、通商路は南蛮人の手に落ちたということなのじゃ。
関白殿下は南蛮人から唐天竺の通商路を奪回するために征明の戦を起こすのじゃ」
なんと。見当違いではないのかな。

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