芸術家の北大路魯山人は言いました。
「柳氏は豊かな生活をしており、民衆の生活とはかけ離れている。家、服装、持ち物、乗り物など、すべてが民衆レベルではない。また柳氏の夫人は声楽家であり、郷土の歌舞を顧みないで外国人の声色を使う兼子夫人に注意を与えるべきだ」と指摘します。

民衆の底辺から苦労の末に這い上がった魯山人にしてはじめていえる言葉ではないでしょうか。
つらい幼年時代を経験した魯山人には、そうした経験を持たない柳が平民について語ることは、極めて許しがたい行為に思えたに違いありません。