日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、昨年12月の冬巡業中に泥酔し10代の行司にセクハラ行為をした立行司、式守伊之助(58)=本名野内五雄、宮城野=に
3場所出場停止とする懲戒処分を下した。その間は無給で自宅謹慎とし夏場所後、12日に提出された辞職願を受理することが決まった。
元横綱日馬富士(33)の暴力事件に続き、酒絡みの不祥事を起こした「行司の横綱」に5カ月もの“生き恥刑”。八角理事長(元横綱北勝海)は会見でざんげした。相次ぐ騒動で角界に厳しい視線が向けられる中、
信頼回復を期す初場所が、14日初日を迎える。 簡単に辞職すら許さない。八角理事長の強い憤りがにじむ裁きだった。伊之助は12日に宮城野親方(元前頭竹葉山)とともに辞職願を協会に届けに来たが、協会が預かった。
臨時理事会で協議され、初、春、夏場所の3場所を出場停止にする懲罰が決議。その期間、無給で自宅謹慎を科すことも決まった。さらに理事長から提起されたのは処分が終わる5月の夏場所後に辞職願を受理するというもの。
反対意見はなく、5カ月も“生き恥をさらせ”、 という異例の処分が下された。10年の元横綱朝青龍は泥酔して一般男性に暴行、そして今回の元横綱日馬富士の暴力事件も酒絡み。再発防止を訴えてきた矢先に、
現役最高位の立行司が冬巡業中に泥酔し10代行司の唇をなめて、胸を触るというセクハラ行為をしでかした。理事長は会見で「立行司で58歳の年齢を考えても本人の責任は重い」と糾弾。
辞職受理を延期することに「反省する時間を与えたい。この時間、反省するように伝えた」と怒気をはらませた。弁明機会を与えるため理事会に呼ばれた伊之助は「協会に対し、ファンに対し申し訳なく思っています。
一番に10代の行司に申し訳なく思っている」と謝罪した、という。行司の不祥事では10年に幕下行司木村林之助が妻子への傷害の疑いで逮捕され、2場所出場停止処分を科された。
宮城野親方と冬巡業中の責任者で現巡業部長の春日野親方(元関脇栃乃和歌)にも厳重注意が下った。現在、最高位の木村庄之助は空位のため初場所は立行司不在。三役格行司が結びの一番を裁く異例事態となった。
立行司不在は15年九州場所8日目から伊之助が3日間の出場停止を受けて以来になる。
理事会後の会見の冒頭で理事長は「申し訳ありませんでした」と7秒間深々と頭を下げた。「力士には力を出し切って良い相撲を、皆さんに喜んでもらえる相撲を取って欲しい」。ざんげし、ケジメを付け、角界一丸の出直し場所が始まる。