■放送法64条第一項は今や必要無い条項である■

まず前提として公共料金は税金と違い、受益者が負担し非受益者は負担しなくて良いというのが基本です。
電気・ガス・水道・電話・交通機関等、公共料金はあくまで使用者(受益者)が支払い、使用していない者(非受益者)まで払う必要がないものです。
しかし日本放送協会(NHK)だけは例外で、放送法64条第一項で協会の放送を受信可能な受信設備(テレビ)を設置しただけで、
NHKと契約する事を義務付けています。

放送法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html

> 第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

何故NHKだけがテレビを設置しただけで契約を義務付け受信料を聴取する事が法律で許されているのか。
それはこの裁判判決でも指摘されています。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/393/083393_hanrei.pdf

> 放送法は,原告という特別の法人を設立し,これに国内放送を中心とする事業を行う権能を与え,原告の国家や経済界等からの
> 独立性を確保するために,原告の放送の受信者に費用分担を求め,さらに,徴収確保の技術的理由に鑑み,原告の放送を受信し得る
> 受信設備を設置した者から,その現実の利用状態とは関係なく,一律に受信料を徴収することを原告自体に認めているものといえる。

つまり他の公共機関のように、受益者と非受益者を区別したり、未契約者や受益者でありながら公共料金(受信料)を払わない者(不払い者)の
放送受信を止める技術的手段が放送法施行当時(昭和25年)無かった為であり、あくまで例外の運用だっただけです。
しかし今や技術的手段が無かったアナログテレビ放送は停波し、個別に受信を止める技術的手段を持ったデジタル放送のみが契約対象となった今、
この例外運用を続ける理由は全くありません。そして理由無く個人が尊重されるべき自由を制限する条項は憲法に違反する可能性がある為、
放送法64条第一項はもはや削除すべき不要な法律と言えます。