電器店の店頭に陳列された受信設備は”客観的(物理的)には放送受信を目的”にしているが、
電気店の経営者が放送を受信するという主観的目的を持っていないという理由で受信契約義務はないとされている。
つまり、受信契約締結義務の判断に”主観的”という要素を排除していないどころかむしろ根拠にしている。
従って、一般家庭でPCのモニターとして利用するという主観的目的でテレビを設置した場合には、
放送法64条ただし書きの適用で契約義務はないことになる。
主観を排除してない以上、客観的(物理的)にはNHKの放送を受信する目的の受信器を設置した場合
であっても、主観的にNHKの受信を目的としなければ契約義務はないという論理解釈は当然あり得るし、
NHKだけを受信できない受信機が、NHKの放送法20条15項違反による介入の結果、
この世に存在しないという現実の下では、そう解釈する方が合理的である。
さらに、法律によって契約を強制するには、憲法で保証された私有財産権に基ずく契約の自由を
制限するだけの合理的な理由、すなわちNHKが公共放送としての職責を果たしていることの
証明が必要になる。
公共放送を自称するだけでは公共放送とは言えない。
放送内容、放送以外の事業(子会社など)、職員の給与・待遇なども含めて
私有財産権(契約の自由)を制限して契約を強制させることに合理性があるかどうかの判断が
必要になる。