次の判決からすると、放送受信料は片務契約であり、その性質は「民法上の贈与契約に準ずる契約」としています。
決して、贈与契約そのものとは言っていません。
勝手に決めつけないように。


札幌地裁平成22年3月19日判決(平成20年(ワ)第1499号放送受信料請求事件)〔TKC〕

 NHKが原告です。妻が放送受信契約を締結している事案で,夫に,受信料が未払であるとして,民法761条の日常家事債務を夫婦が連帯するという規定に基づき,または民法110条の表見代理の規定に基づき,受信料の支払を求めた事案です。棄却です。

3.この片務契約という性質決定について,次のように解釈を組み立てています。
 判旨「放送法は,2で検討したとおり,原告に受信料という特殊な負担金の徴収手段として,租税と同様の取扱いとしたり,電気料金に上乗せしたりする特別な徴収方法を認めず,一般債権と同様の民事訴訟法によるべきこととした。
その結果,原告が本件訴訟において主張する放送受信契約は,個人主義を基調とする民法その他の私法によって修正されることになり,放送受信契約の成立は,受信設備(テレビ)を設置した日ではなく,放送受信契約を締結した日からであること,
契約主体も世帯ではなく,受信設備(テレビ)設置者に限定されることになったものと考えられる。
そして,受信料という特殊な負担金を国民から徴収するという放送受信契約は,国民の側からみれば,受信設備(テレビ)を設置した場合に受信料という特殊な負担金を原告に納付するという,民法上の贈与契約に準ずる契約と解することができる。