契約上の争点について、最高裁は大筋でNHK側の訴えを認めたが、契約拒否者に「申込書が到達した時点で契約が成立する」との主張は退けた。
このため、未契約者に支払い督促などの法的手続きを直接取ることはできず、契約を拒み続ける人には今まで通り裁判を起こして契約承諾を求める流れとなる。

 とはいえ、最高裁が受信契約を法的義務と認めたことで、契約拒否者が裁判で勝つ見込みはほぼなくなった。さらに消滅時効(5年)は判決確定まで進行しないことになり、
テレビ設置から長期間契約を放置すると、多額の支払いリスクを背負う。未契約者に与える心理的影響は大きく、受信料徴収に追い風になることは確実だ。

 15人の裁判官で受信料制度を違憲とした判断はなかったが、追加の立法の必要性を示唆する少数意見はあった。
鬼丸かおる裁判官は補足意見で、受信契約の詳細が放送法に規定されていない点を挙げて
「契約の自由という大原則の例外であることを考えると、本来は契約内容まで含めて法律で定めることが望ましい」と指摘した。
家族や居住形態が多様化する中、受信契約が世帯を単位としている点についても疑問を投げかけた。

 判決では解決されない課題も残る。例えば、携帯電話のワンセグ機能を巡る訴訟だ。NHKはテレビがないワンセグ携帯所持者にも契約を求めてきた。
これまで出された1審判決では、3件が受信料支払いの義務を認め、1件が否定している。いずれも高裁で審理中で、今後、最高裁が統一判断を示す可能性が高い。

(続く)