「最近、ちょっと気になることがあるんです。
それは何かというと、僕たち障害者のことなんやけど、
障害者という漢字を『害』は良い漢字じゃないので、
平仮名まじりの文字に変えているところが結構増えてきたことです。
真面目な気持ちで、言葉からでも変えていこうという人達もいらっしゃると思うから、
それはそれでいいと思うんやけど、だけど僕は、ちょっと待てよと思うところもある。
行政なんかも印刷物などで切り替えてきているけど、何かウサン臭さを感じるんやね。
なぜかと言うと、例えば後期高齢者医療制度なんかもそうやけど、評判が悪かったから、
中身は変わらないまま“長寿”って言い替えられたりしているけど、それと同じように、
『障害者』という文字も『害』という字が良くないから平仮名で表記しようとしているが、
世の中の障害者観がそれほど変わっていないのに、言葉だけを上滑りに変えてしまうことが、
臭いものにフタみたいなニュアンスを感じるんやね。
だから、もうちょっと言葉を吟味するというか、話し合う過程を通って使いたいと思うんです。」

(2008年11月14日放送のNHK教育「きらっといきる」での牧口一二氏の言葉)