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つぶやきから 4

伊藤朱織
『ひな祭りの記憶』
初孫のわたしに祖母が立派な7段飾りのお雛様を用意してくれた。
毎年祖母、母と一緒にお雛様を飾ることが我が家の決まり事。
4日になると必ず片付けてしまうのでどうしてなの?と聞くわたしに
「お嫁に行くのが遅れるから」と祖母が教えてくれたことを今でも覚えています。
2019年3月4日

3月3日は母がたくさんのごちそうやケーキを用意してくれ、
クラスのお友達も呼んでひな祭りパーティーをしていました。
わたしが小学校低学年になるまでは……
3年生になるとわたしが不登校気味に……
それが原因で母はすっかり無気力になってしまったのです。
2019年3月4日

クラスのお友達を呼べなくなったひな祭りパーティーはなくなり、
3月3日は普段と変わらない食卓に戻りました。
それでも祖母と母とわたしでお雛様だけは毎年飾りました。
わたしが学校に行けなくなっても祖母は何も変わることなく接してくれたことだけが唯一の救いでした。
2019年3月4日

なのにわたしが高校生になるとお雛様を飾ることも一緒に暮らしていない祖母に会いに行くこともなくなりました。
不登校気味だったわたしも高校では学級委員の皆勤賞。
外の世界が楽しすぎて家に寄り付かなくなり家族よりも友情がいちばんだと思っていた時期でした。
2019年3月4日