(被差別部落が)一番多いのは兵庫県で、3百万県民のうち部落民が20万近くで、県民15人に1人という割合になる。
大阪市を例に取ると、14地区、約1万4千世帯、6万人に近い人口で、とくに西成、浪速両区にまたがる、
いわゆる西成部落は、世帯数約1万余、人口4万余で日本最大の密集地帯を形成している。
堺市に6千人の部落の人がいるが、地元にある八幡製鉄、福助足袋、大阪金属などの大企業に勤めている人はわずか十数名である。
京都市では19部落、2万4千人であるが、昭和37年度には、そのうちの45%が失対日傭労働者であり、
京都市の全失対に占める比率は52%、失対婦人労働者に至っては77%に及ぶ。
部落の中で生活保護を受ける比率(昭和37年)は、京都府が最高で11.6%、次が高知県10.8%、徳島県8.5%、島根県7.5%、奈良県7.1%、和歌山県7.0%で、
岡山、山口、鳥取、広島、福井、愛媛、滋賀、福岡、大阪、大分などの順になっており、その率は一般平均の約4倍に及んでいる。
(『日本女性史』1965年・原田伴彦)