直虎あと2話…キレキレだったサブタイトルおさらい  12/4(月) 13:00配信 日刊スポーツ

【先週のタイトル】「信長、浜松来たいってよ」

 3日に放送されたNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」48話のサブタイトルです。
1話以来、名作映画や小説をパロッてつけてきた直虎式サブタイトルですが、「信長、浜松来たいってよ」は、作者である脚本家森下佳子さんが「大事にとっておいた」というお気に入り。
大河ドラマ史に残るインパクトに笑ってしまいました。

 モチーフは、12年に神木隆之介主演で映画化された「桐島、部活やめるってよ」。
念願の駿河を手に入れた家康(阿部サダヲ)に、信長(市川海老蔵)が「富士を見たい」と観光にやってくる厄介さがにじんでいて、
先週、このタイトルが予告されると、ネット上も「爆笑」「どこの桐島だよ」「破壊力すごい」「大河でこれは前代未聞」「50話の中で一番攻めてるタイトル」などと大いに沸きました。
本編では、この“観光”を発端に本能寺の変へとつながっていくどす黒い舞台裏が描かれ、のんきなサブタイトルがとんだ皮肉になっているあざやかさ。
直虎サブタイトルの集大成ともいえる切れ味でした。

 森下さんは「『桐島、部活やめるってよ』は何でもできるタイトルなんです。
『直虎、領主やめるってよ』とか『虎松、お家再興するってよ』とか。
大事に大事にとっておいたら、いつの間にか使わないまま来てしまった。
そろそろ使わないと、これだけ大事にしてきた意味がないぞと、48話に使わせていただきました」と話しています。

 既存のタイトルをパロったサブタイトルは、森下氏と、制作統括の岡本幸江チーフプロデューサー、担当演出の3人の遊び心によるもので、1話「井伊谷の少女」(風の谷のナウシカ)から続けてきました。
岡本さんは「井伊直虎は無名の人なので、次は何が起こるか想像してもらいにくい。
内容を伝える導入として、皆さんご存じの作品のイメージをあれもこれもとお借りしてきました」とねらいを語っています。
森下さんも「岡本さんが『いいよ』と言ってくれたのでやらせてもらいました。
もともとダジャレやパロディーが好きなので、楽しかったです」。

 森下さんが一番印象に残っているというのは、小野政次(高橋一生)の壮絶な処刑シーンが大きな反響を呼んだ33話「嫌われ政次の一生」。
モチーフは映画「嫌われ松子の一生」(06年)で、あえて悪役をまっとうした政次の生きざまに、「高橋一生」の名前もかかっているミラクルが話題になりました。
「あのタイトルは私ではなく、ディレクターがつけたのですが、素晴らしかった」としみじみ。
綿花栽培で財政を立て直す16話「綿毛の案」(赤毛のアン)のようなダジャレ系も好きだったと振り返っています。

 どのサブタイトルも3人の好きな映画や小説をモチーフにしていますが、岡本さんは「見た人が自由に想像して盛り上がってほしい」と、あえて元ネタの“正解”は明かしていません。
「視聴者の皆さんが想像してくれた元ネタをSNSなどで見て、確かにそれもありだなと、私たちが刺激を受けることも多くありました。
すぐ思いついたものから難しかったものまで、タイトル会議は楽しい作業でした」。

 次回予告でオープンになった49話のサブタイトルは「本能寺が変」。これも秀逸ですよね。
さっそくネット上も「サブタイトルが変」「本編のテンションと反比例するサブタイトルずるい」と激アツです。
すでに斬新な解釈による本能寺の変が動き始めていて、森下さんがどんな物語として描くのか楽しみです。

 残るサブタイトルも最終回のみ。どんな元ネタをパロッているのかも含めて、残り2話に注目です。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171204-00068729-nksports-ent