第45回「大政奉還」より

本日も簡単に。

西は慶喜に「議題草案」を提出している。慶喜は出来に満足したらしく「御苦労であった。良く出来ている」と。寅之介に
も読ませている(寅之介は架空人物だが、慶喜は西の講義も聞かせたりと目をかけているようである)。

よほどうれしいようで、西と酒を飲んで、酌もしている(この作品を見て思ったが、酌は立場の偉い人がやると「とても相
手に感謝している」ことを示すことになると思う。確か家茂も参預会議の時に労をねぎらうため酌をしたことがあった)。
さらに寅之介にも酌をしている。本作慶喜はほとんど情を見せない人だが、たまにこういうシーンがあると何となくホロリ
とする(しかも寅之介も酌をしてもらった杯を懐にしまい込んでるし)。

西は大政奉還について「そのようなことになるのでございましょうか」と慶喜に聞いている。「何が起こるか分からぬ世の
中じゃ」と返したので、西は「万が一(と何度も繰り返す)大政奉還をすると、上様の立場がなくなってしまいそうしたら、
この議題草案は意味がなくなるのでしょうか?」と。慶喜は「その時には余を抜いて考えればいい。諸外国の様に大統領を選
べばいい。それでこそ外国と肩を並べられるではないか。余が新たな国家の元首の座を望むは、新たな国づくりに際して橋渡
しが必要と思うからじゃ。うまい具合に出発できれば余の役目は終わるというものじゃ」

続きます