清盛、後白河、頼朝のような主要人物については、資料や学説を咀嚼しながら歴史上の彼らに迫ろうとする表現意欲がまずあって、
そこにドラマならではのデフォルメを加えていく造型手法をとっていた。
対する為朝は、大合戦からは程遠い保元の戦をピンポイントで盛り上げる(数少ない)エンタメ要員に位置づけられていた。
つまり、本作の為朝は歴史上の為朝というより、軍記物が誇張する強弓無双の伝説的人物像を正面から掲げた物語の中の為朝である。
それゆえ、史実の為朝はその時たかだか17歳の若者にすぎなくとも(鎮西で鳥羽の荘園を荒らす悪ガキだったことは史実)、
ドラマの為朝は、風貌からして辺りを睥睨威圧し、その名を聞くや皆がビビるような強面の「大人」が相応しい。
40代の橋本さとし氏は、ガンダム風の人物デザインと相まってこの超人為朝のイメージにまさにピッタリで、
キャスティングした磯Pの選択眼がここでも冴えまくった。
フレッシュな10代の若者為朝には若手を起用する・・・役者選びはそんな単純な当て嵌めだけでは決まらない格好の素材だろう
(理由は異なるが〜基房と対比された沈着冷静な性格&若手中心となった後半にベテランを配してバランスをとる
〜まだ若い兼実に50の相島氏を起用したことも同様)。