サトウキビの収穫の件で西郷は下層役人を非難するが、その役人もまた本土の上司から厳しいノルマを課せられているはずで、
そうやって民からしぼりとった利益で武士たち無産階級のものは、のうのうと暮らしているわけだ。
だから、島で威張り腐っている役人を、ゴリラのごときおたけびでビビらせれば解決するとかいうほど単純な問題ではない。
そういう構造的な貧困なり汚職なりを解決するためには、根本の階級というものを壊さなければならない。
西郷が民のため弱者のためということを本気で考えている人なら、大久保のやった廃藩置県などは、
だれよりも西郷自身が率先してやらなきゃならなかったと思う。