いわゆる「固有の領土」なる語は、北方領土の潜在的主権を主張するため戦後に作られた造語で国際的になんら通用しない語、概念である。
中国が南沙諸島の主権を主張するために主張している「九段線」と大して変わらない。
日本政府がよく使う「固有の領土」という造語は歴史用語ではなく政治用語にすぎないのは自明であって、だから「固有の領土」なる造語は国家スローガンやプロパガンダ(政治的宣伝活動)、
あるいはナショナリズムを扇動するときに使われるもので、その程度の意味しか持たない。
「固有の領土」云々で主権が主張できるなら、メキシコがニューメキシコ州の返還を主張できることになるし、ドイツは旧プロイセン地域の返還をポーランドに要求できることになる。
さらに言えば、アメリカのアラスカ州はもともとロシアの領土だったわけだから「アメリカ固有の領土」とは言えないし、同じくアメリカのハワイ州はもともとハワイ王国という独立国だったわけだから「アメリカ固有の領土」とは言えない。
日本に話を戻すと、小笠原諸島は最初にアメリカが支配していた島なのだから「日本固有の領土」とは言えない。
もちろん、沖縄ももともと琉球王国が統治していたわけだから「日本固有の領土」とは言えない。