「吉之助・・・その方どげな顔をしてわしの前に罷り出た!
先ごろ帝に来部して国元に入りながら、一片の挨拶もせんかったこつは、代々の主君を軽んじたことじゃ。
かかる無礼、断じて許されるこつではなか。切腹はおろか、打首に相当する大罪である!」

「その方、帝のお供じゃち申し開くつもりじゃろうどん、じゃれば、帝に建白した我が十四ヶ条の意見は、どげんなことになったとじゃ?
今だに何らの御返答もなかちいうこつは、わしの意見を、その方どもが、帝に返答の要無しと、申し上げたからに相違なか!」

「今一度申す!
一つ!帝の御学問及び御召物は日本国の伝統を守られるべきこと!
一つ!身分の貴賤は明らかにすること!
一つ!租税を確し、政府役人といえど、賞罰を正しくすること!
一つ!謹んで人材を選ぶこと!」

「今の政治では、国の力は日に日に衰えることは明らかじゃ。
遂には、外国の属国になることは間違いなく、それを思うとわしは、涙が流れてどげんもならんど!」

「その方、直ちに職を辞して元の身分に戻れ。そもそもその方の今日あるをなんと思うか!
亡き兄君の寵愛を受けたとが始まりじゃろう!そん大恩を邪にして、薩摩ん兵力を操って御維新を成し、古き良かもんを打ち壊した。
旧主よりそん領地を奪うなんど、泉下の兄君がどげん悔やんでおられるか、その方には思い至らぬか!」

「となれば、その方は恩を忘れた大たわけじゃ、恥を知れ!」

俺ならその場で死ぬわ