http://blog.livedoor.jp/rekishireal/archives/54539961.html

「西郷さんの一生は実は征韓論時代で終わったのである。
 明治十年の戦争は或る人が何と言っても、叛逆であると論じたごとく一大失敗で、
 アノ悲惨な最期を遂げられた。
 明治政府といえども、西郷さんを暗殺するような事はしません。
 もちろん私学校の連中が弾薬を奪ったりしたから、そのままジッとしておれば、
政府から罰せられるという心配があったかも知れないが、兵を率いて説明に行く用はない……
自分も西郷さんとは二十歳余りも年が違い、殊に明治四年から十一年まで倫敦(ロンドン)にいて、
十年戦争も知らないのだから、詳しい話は出来ない」

 これを読むと、東郷が西郷に対し、敬意を表しつつも、複雑な思いを抱いていたことが分かる。
西南戦争を「一大失敗」と断言しており、少なくとも、手放しの礼讚をする気はない。

 半世紀後を生きる東郷には、「暗殺」を真に受けて「上京」の途につく西郷は、軽率な人物に思えたらしい。
そして鹿児島市照国神社で行われた五十年祭の式典に、「奉賛会総裁」の東郷は病気を理由に欠席した。
翌日の新聞には、それを「すこぶる残念だ」との、関係者の談話が出ている。