時代劇、衛星放送で新作続々
シニア層の支持厚く
2018/7/2付 日本経済新聞 夕刊
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO32486780S8A700C1BE0P00

BS・CS放送で時代劇の新作が続々と放映されている。一時は地上波から消え存続が危ぶまれたが、視聴者の年齢層が高い衛星放送で復調。撮影所でも後進の育成に力を入れ始めた。

 「時代劇を見たい、という要望が多く寄せられている。氷山の一角といったレベルではないと感じる」。
浅田次郎の小説をドラマ化した「黒書院の六兵衛」(22日午後10時〜、全6回)を衛星放送のWOWOWで企画した武田吉孝チーフプロデューサーは語る。同局のドラマは現代劇が中心で時代劇の制作は珍しい。

 同作は、幕末の江戸城無血開城を舞台に御書院番士と下級武士の友情を描く。企画を立てたのは2012年ごろ。11年にTBS系の「水戸黄門」が終了し、地上波民放局から時代劇枠が消えた時期と重なる。
「お金がかかるわりに、視聴者層が年配に限られるというイメージで敬遠されていた。資金が集まりにくい状況だった」と武田チーフプロデューサーは振り返る。

 しかし、近年はBSやCSで時代劇の制作が相次ぐ。昨年、BS―TBSで「水戸黄門」が復活し、現在はNHKBSプレミアムやBSジャパン「火曜ドラマJ」枠で定期的に連続時代劇が作られている。

 若者向けの番組が多い地上波から離れた視聴者からの支持は厚い。幅広い年代を取り込む必要がある地上波に比べ、衛星放送は高い年齢層にターゲットを絞りやすく、WOWOWの加入者も50代が中心だ。