西南戦争終結から数十年後、ある男が甲突川のほとりで髑髏を見つけ、気の毒に思って懇ろに
供養したところその晩やはり戸を叩く者があった。「誰だ」と聞くと「肥(フェイ)だ」と答える。
「楊貴妃かい」と訊くと「俺は西郷隆盛だ」という答え。仰天して「西郷大将が我が家に何ゆえのお越しで」と訊ねると、
西郷曰く「俺は城山で介錯されてから、葬られる事もなく野ざらしになっておったのをお前に供養してもらった。
その礼に夜を共にさせてくれい」。これが日本で翻案されたのが、落語『野ざらし』となった。