「そもそも西郷隆盛の実像は、世間一般的な豪放磊落というイメージの真逆、極めて小心な人物です。
薩摩藩にとって月照は厄介者。殺害を命じられた西郷は、進退窮まり、月照へ船に乗るように誘います。
そして史実では一応、『入水は合意があり、西郷だけが助かってしまった』となっていますが、私は疑問を持っています。
というのも、維新後に西郷の述懐を聞いた人の回想が残っており、
『月照が舳先で小便をしているとき、いきなり後ろから抱きかかえて飛び込んだ』と西郷自身が語っているというのです。
こうなると合意の自殺どころか無理心中、しかも西郷は生き延びましたから殺人ということになります」