>>534
みっけたよ爺さん

【始めからベテランがやれ!】
荒々しい体制変革者平清盛の全生涯をほぼ一人で演じきる上で、さまざまな経験を積みながら人間形成した青年期は決定的に重要であった。
この清盛を初めから完成された(平治の乱直後から、精力的に仕事する壮年清盛ではなく既に晩年風)、既に老境にある渡哲也が演じられるはずがないし、
渡と比較して松ケンは「貫禄がない」などという言い種はまったくナンセンスでしかない。
50超えの中井が12歳のガキンチョ高平太だと!!そんな悪い冗談を夢想した人間が数知れずいただと??
中井を夢想するのは結構だが、こちらもギャグでしかない。
中井は「清盛をスケール豊かに伸ばした大きな父」「平氏を急上昇させて清盛に大きな遺産を残した大きな棟梁」忠盛にこそ相応しく、そして素晴らしかったのだ。

【二ヶ月子役で引っ張れ!】
落胤説に立つ以上、オギャーから始めない選択肢はないけれども、清盛はダラダラと子役を引っ張って良い人物ではない(子ども時代のエピが無い上に無用)。
清盛は2話冒頭、時期的には12歳で元服した直前で、子役まえだ弟から本役松ケンにチェンジした
(元服時交代するのは合理的だろう。官兵衛はこのパターン。一方、子役嫌いの三谷は、何と考証が発掘した資料をシカト。
「元服済み」ということにして初めから堺信繁で「押し通した」)。
高平太の時から、そのヤンチャぶりが京雀たちの耳目を集めていたというのだから、清盛は早熟の「悪ガキ」だったのだろう。
この賭場に出入りする無頼の高平太を子役まえだ君が演ずるのは、既に絶望的にムリ。
んでもって2話以降、内容的には、自我危機、信西との穴での出会いから社会の矛盾を教えられる、
3話では石清水八幡での荒々しい剣舞披露といった具合に「青年清盛」の描写は展開されていった。
こうなるともうまえだ君の領域ではないことは明らか。
しかも、2か月は子役となると、「青春活劇スペクタクル」の位置づけも与えられた海賊回(7話あたりー17、8歳)で大暴れするのもまえだ君・・・
で、次回はいきなり中井貴一の清盛!!!(笑)

【中継ぎを挟め!】
子ども子役から大人の役者へチェンジする場合は、別に外観が似ている必要はない。
視聴者もそこには断絶があることを了解しており、織り込み済みだ。言わば仕切り直せる。
これに対して、元服前後の青少年から中継ぎの「青少年子役」を起用した場合は、本役との連続性が外観上も性格上も強く要求される。
同一人物に外も内も見えないとまったく別の主人公のドラマとなってしまうからだ。
なので、過去作でも主人公についてそのような無茶をやった大河はほとんどないはず。
(清盛は頼朝について少年中川を挟んだ。助命された少年が本役岡田まというわけにはいくまい)
しかも、中継ぎの少年(青年)をどこまで引っ張るのか、本役へチェンジする適切なタイミングを見出すことは絶望的に困難だ。
たとえば、清盛が棟梁となったのは36歳の時(ここまでがいわば清盛の前史として一つの纏まりをもつ)。
高野山造塔という大仕事(歴史上の清盛についても最初の特記される業績)を成し遂げ、大きな父忠盛を乗り越えた清盛が「中継ぎの子役」
ということ自体あり得ない上、晴れて棟梁の指名を受けた清盛が、次回突然まったく別の中年顔となって「俺が棟梁だ」と宣言するシーンを想像するだけで、
その滑稽さに笑いがこみ上げてくる。
だからと言って、それ以前の交代では清盛という一個の人格を分断するだけだ。

結局、清盛に関しては、子どもまえだ君を受けて本役松ケンにチェンジするオーソドックスなやり方以外に選択肢はなく、
しかも、その本役は「ヤンチャな青年」清盛を演じられることが不可欠の適性要件である以上、年寄りの出る幕はなかった。
その後、松ケンは壮年はおろか老害清盛までを一人で演じきり、老人清盛演技の方を評価する声の方が多いほどだ。

【結論】
清盛はどこかで必ず無理が出る大河主人公の役年齢&実年齢との乖離問題に対して、子役、本役、チェンジのタイミング等を考え抜いた大河であり、
最適解に近い正解を与えた大河でもある。子役→松ケンで正解。