>>82 4ページ目

>もちろんこの3人が主犯とはいえ、光秀が義昭の美濃行きを決めたがゆえの謀殺でもあり、複雑です。

>誰が阿君丸を殺したのか?彼の命は高いのか、安いのか?そう考えてしまう。
>子どもの生々しい死を前にして、こういうことを思う自分が邪悪だし、いろいろと失うものがあるだろうとは思えるの
>だけれども。

>確かに、これは知恵を絞った結果であり、最善の策ではある。
>子どもと毒見役の命ふたつならば、安い買い物とはいえる。

>藤英は宴の席で、父の後押しをしたと阿君丸が語ったあたりで、失望とともに弱みを握った痛快さもあったのかもしれ
>ない。
>だって、あんなに堂々と、義景に反感を抱いている者の前で愚かなことをしたのだから。
>あの瞬間、義景は自分の弱点をむざむざと晒しました。
>人間誰しも愛着はあるし、そのことを表明もするけれども、それは時に危険でもある。麒麟が来ない乱世では、特にそ
>うです。

>義景は我が子を愛する、ちょっと抜けたところはあっても善良な人物です。
>ただ、乱世を生きていく大名に適していないだけなのです。

>本作はおそろしい。歴史をもとにして考えることの邪悪さ、下手すれば転がっていってしまう落とし穴を示している。
>こういう人の命に値段をつけるような思考実験を、要所要所でやらかす。

>今までも暗殺の場面は何度も出てきました。残酷だけど、それで戦が回避できるのであれば効率的であると。
>そうやって人の命を貨幣のように思うことそのものが、乱世のようで、人間性の摩耗なのだと思えてきました。
>それを気にしないと明確にされている人物も複数名出てきている。

>家康の場合、父の首すらそうできた。
>最終盤、妻子を信長によって失ったとき、彼はどんな反応を示すのでしょうか。

>この3人を演じた谷原章介さん、榎木孝明さん、そして手塚とおるさん、みな素晴らしい演技でした。

続きます