麒麟がくる」28回 4ページ目

>信長は、人の心を平気で踏みつける。その悪どさや痛みに気づけない。けれども、そうできない人がいる、それが光秀。
>光秀は、石仏をじっとみつめてしまう。なぜですか? なぜ、あなたは、この石仏を信じる人の心を踏みつけにできるのですか? 
>そういう問いかけを、表情で表現する長谷川博己さんが今週も圧巻だ。

>染谷さんが動ならば、ハセヒロさんは静で。静かなようで、感情はこんこんと表情の背後で流れていて。もうハセヒロさんの演技
>力と知力前提で動くような作品だから、説明するのは野暮だと思うけれども。それでも毎週言いたくもなる。長谷川博己さんは、
>ほんとうに誠実で唯一無二の、素晴らしい役者なのです。

多分ここ、制作者側は武者氏の様に思って欲しいのだろうけれども。

ここ光秀が「石仏を邪険に扱う信長に嫌悪感を抱く」という風に見せたかったら、光秀の信仰心をきちんと描くとか、明智家の信仰
心を明確に描くとかしておかないと唐突に見えてしまう。

いや、「異常」な信長に対して「常識人」の光秀という風に描いていれば、それほど信仰心の描写がいらなかったのかもしれないが、
何しろ今までの光秀は「裏切りホイホイ」で、何の情もなく義龍を裏切って、しかもその後、牧と一緒に美濃に帰ってきた時に伝吾
と「高政がいたらどうだっただろうな」とか、自分の裏切りも他人事の様に忘れているとしか思えなかった。そういう情のなさを見
せているので、いきなり「仏像を大切にしないなんて」みたいな顔をされると、こっちは「アンタがそれをやるか?」という気になっ
てしまう。何度も言うがこういうところが「本作、光秀をどう描きたいの?」と思ってしまうところである。