三谷幸喜なる人物への極私的偏見
 その昔、実の弟を自殺に追い込んだとまで噂されている、海外サッカー厨(海外厨)の明石家さんま(本名:杉本高文)のサッカー番組に「サッカーファン」として登場したが、言っていることが全く面白くないのにもかかわらず「どうです? ボクって面白いでしょ!」的な態度が鼻についた……。
 ……以来、三谷幸喜なる人物には、極私的な偏見が拭(ぬぐ)えない。
 クドカンこと宮藤官九郎が脚本を書いた「いだてん」が史上最低大河とまで言われるくらいに大失敗作・大駄作だったのに比べて、三谷幸喜が脚本を書いた2016年大河ドラマ「真田丸」は成功作だと言われている。間違いである。
 「真田丸」の平均視聴率は15%台だったという。しかし、極私的な記憶では、初めは平均視聴率20%くらいを期待されていたはずだ。課せられたテーマは「大河ドラマの復権」。当時の感覚では、天下のNHK大河ドラマの平均視聴率が15%台で満足していいのだろうか……であった。
(その後の大河ドラマ,特に大愚作「いだてん」のせいで,かなり感覚が麻痺してしまったけれども)
 内容・出来も必ずしも良かったとはいえない。歴史学者の渡邊大門先生は「歴史リアルWEB」の週刊大河ドラマ批評で非常に辛辣な評価を下していた。

 そんな「真田丸」は、なぜ成功作であるかのように印象付けられたのか? 脱落した視聴者がいた一方で、残った視聴者が「信者」化してSNSでさんざんバズった(インターネット上の口コミで話題にした)からだ。
 平均視聴率20%に足らない平均視聴率15%。そのマイナス5%分を、NHKはそのバズったことで埋め合わせをして「成功」と総括した。間違いだった。その間違った総括の「なれの果て」が「いだてん東京オリムピック噺(ばなし)」という大失敗作だった。

 三谷幸喜の2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」**もまた、SNSで「信者」たちにバズらせて、誤用マスコミに提灯記事を書かせ、ステマ(ステルスマーケティング)して、NHKは人々に人気番組だと「洗脳」するのだろうか?
どうしたって「草燃える」には敵わない
 「鎌倉殿の13人」の主人公は、鎌倉幕府の第2代執権の北条義時である。この時代……平安末の動乱期〜鎌倉幕府草創期を舞台にし、北条義時が重要な登場人物となる大河ドラマといえば、1979年(昭和54年)の、あの「草燃える」がある。

 「草燃える」は、歴代のNHK大河ドラマの中でも傑作である。
 石坂浩二の源頼朝は良かった。国広富之の空気が読めない源義経も良かった。友里千賀子のふくよかな静御前も良かった。郷ひろみのボンクラな源頼家も良かった。尾上松緑の老獪な後白河院も良かった。特に松平健のだんだんと変貌していく北条義時は素晴らしかった。何より岩下志麻以上の北条政子はいない……。

 ……要するに全部いいのである。「鎌倉殿の13人」の視聴は、「草燃える」がいかに素晴らしい歴史劇であったかを確認する作業となるだろう。


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