同省の調査によると、国交相から技能検定専門委員に任命された同社のアフターマーケット本部サービス部の東京グループ長の社員が昨年9月、
同省から依頼されて作成した試験問題案8問を、愛知県の同本部の技術人材開発室の室員に電子メールで送信した。
室員は事前にトヨタ関連の販売店向けの練習問題集4000部とコンパクトディスク(CD)に掲載し、配布していた。CDは、この8問の番号が点滅し、「重要問題」を示す仕組みになっていた。

 また、今年7月にも、グループ長は同省の依頼を受けて作成した問題案6問について同じ室員に送信し、室員が販売店向け練習問題集5300部とCDに掲載し、配布していたことが新たに判明した。

 これまでは、このグループ長が今年10月ごろ、筆記試験38問のチェックを求められた際、同本部の技術人材開発室長に電子メールで送信し、
同じ室員が室長の同意を得たうえで11月7日、全国308社の販売店向けのホームページに問題を掲載していたことが分かっていた。

 同省や社内の聴取に室長らは「合格率を上げたいという気持ちで間違いを起こした」と説明した。漏えいを実行した室員は「昨年は初めての1級検定の実施で、手探りだった。
練習問題に掲載したものがそのまま出て驚いた。今年は合格率を上げたい一心で、とんでもないことをしてしまった」と語ったという。試験問題の作成、確認とも同室に「丸投げ」の形で流していたグループ長は「漏えいするとは全く思わなかった」と話したという。

 トヨタとトヨタ関連会社約240社は、今年受検した3291人全員の受検辞退を申請した。
しかし、トヨタ関連で423人に上る昨年の筆記試験合格者について、同省は「物理的に調査が難しく、さかのぼっての合格取り消しなどの措置はしない」と決めた。