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木村公一 |
スポーツライター・作家

震災当時、プロ野球の開幕に関して多くの議論がありました。
開催すべきか延期か。その中で印象的だったのがダルビッシュ有投手の「プレーで人々に勇気を与えるという言い方への違和感」でした。
そんなに簡単に勇気なんて与えられるものなのか。
与えるなどという、上からの立場にも見える表現はおかしくないか。
当時の「頑張れ、頑張れ」というコールの中、その違和感はとても素直に、腑に落ちるものでした。
あれから9年。果たしてどれだけプロスポーツという興行に、人々を勇気づけられる力があるのか。
見る側である代表の端くれとしても、考え続けた9年のような気もします。
そして今、形は変われど当時と同じような空気が、日本を、世界を巻き込んでいます。
あのとき学んだことを活かせるのか、それとも。
五輪とともに、スポーツのあるべき姿が問われるときなのだなと感じています。