「だいすけさん、またチェックしてるんすか?」

マネージャーが運転する車に乗って移動していただいすけはスマホの画面に映る番組を真剣な眼差しで見ていた。

「ぼくの役目みたいなものだからね」
「後輩想いなんですね」

昔務めていた思入れのある番組に自分の後を継いでる後輩たちに落ち度はないかとチェックするのが日課ではあるが、ここ最近多忙もあり毎日チェックすることができないでいた。
だいすけはポケットに入れたゆういちろうから貰ったガムの包みを開いて口の中に入れてまた番組を鑑賞する。

すると、噛んだ瞬間、肩がビクッと跳ね上がってしまうほどの刺激の強い味に驚いた。
それだけ日頃から眠気と闘って切磋琢磨に仕事に励んでいるのだというのが分かると(自分も負けてられないな)と思い、両頬を強く叩く。


〜きみがわらうと ぼくもうれしくなる♪
〜ふくらんでゆく もっとうれしくなる♪


画面では今月の歌が始まっていてさっきの出来事が脳裏に浮かんだ。

自分が与えたパワーによって元気になった二人。
元気を貰ったその二人を目にして自分も相手からパワーを与えて貰ってたということ。

人というのは、与えて与えられることを繰り返す相合作用な生き物だと考える。

それから、舌から感じる強い刺激が数分経つとお腹がゆるくなるのを感じ、運転するマネージャーにトイレがありそうな場所へ行くよう伝えて車を走らせていった。


〈完〉