「あつこもう食べないの?熱でもあるんじゃない?」
「ゆうくんどうしたの?パンケーキの方が良かった?」

料亭に来たかのような沢山の量にまだ終わりが見えない朝食を見つめてあつこ(ゆういちろう)は考える。
あつこが家族にどんな口調で話してたか、そして目の前にいる小野おばさんを傷つけない言葉を。
ホイップたっぷりのさくらんぼが添えられたハート型のワッフルを見つめてゆういちろう(あつこ)は考える。
ゆういちろうが家族にどんな口調で話してたか、そして目の前にいる花田おばさんを傷つけない言葉を。

「だってママが作った料理どれも美味しいんだもん!またブクブク太っちゃう!」
「だって母上が作ったワッフル可愛いんだもん!勿体ないから飾っておきたい!」

「も〜あつこったら!でもダイエットは程々にしなさいよ?昨日も上からドタバタ音しててあんたのストレッチ煩かったんだからね」
「も〜ゆうくんったら!大丈夫よ!今日も先にインスタに写真上げたから。ささっ、遠慮せずに食べてね♪」

「へぇ〜。あ、いや。せっかく作ってくれたのに残してごめんねママ。電車遅れるといけないからもう仕事行ってくるね!」
「ほんとに?さすが母上〜…。でも私、違う僕ダイエット…したことないな。うっ、分かったよ。いただきます。。うぅ…甘っ」

そうして意気込んで玄関を出ると、庭では尻尾を振りながら柵から顔を覗かせてるあつこの犬がいた。
犬の頭を撫でて「じゃあねハル」と言い、あつこ(ゆういちろう)は家を後にした。
そうして胸焼けを感じつつ玄関を出ると、玄関外に降りてきたのか手を舐めながら寝そべってるゆういちろうの猫がいた。
猫の頭を撫で、ようとしたが、体を背けて家の中に入るつれない猫を一瞥してゆういちろう(あつこ)は家を後にした。