すると、突然、ゆういちろう(あつこ)のお腹から「ぎゅーっ」と音が鳴り、それを聞いた誠は、ハハハ!と指を差して笑った。
小っ恥ずかしくなって一緒に笑おうとしたが、ゆういちろう(あつこ)はハッとする。

自分もせっかく男という立場に今いるのだから、ここは男らしく振舞ってもいいのでは?
ゆういちろうだって自分の体を使って好き勝手に楽しんでいるのだから割りに合わない。
そして、目の前でまだ笑ってる誠を睨みつけて声を低くする。

「おい、てめぇ。まこと。先輩に指差していいと思ってんのか?」
「…え?…えっと。その、はいすみません…」
「ここは『僕のオナラです』って庇うのが筋ってもんだろうが」
「そんな…おなか鳴っただけで…」
「あ?何つった?」
「いえ!何でもありません!僕のオナラです!」

不穏な空気を漂わせた二人に同室で着替えてる他の男性たちも察したのか首を長くしたり目をチラチラ見ながら着替えたりするのもいた。
けど、今皆の目に映ってるのは自分(あつこ)ではなく、ゆういちろうだ。
男言葉など一度も使ったことないあつこだったが、テレビや漫画などである程度は知っていたので見様見真似で男になりきって喋り続けていく。
正直、心臓の音はドキドキ鳴っていた。
しかし、解放感溢れる言葉と態度を表すことでなんだか自分が王様になれた気分になれたような気がして、あつこは不思議と心地良さを感じた。

「笑った罰としてやきそばパン買ってこい」