「この、たけのこの里!!!」
「なっ、きのこの山!!!!」

怒りの感情とストレスからかどちらともなく手が出てしまい、一人は相手の頬をぎゅーっとつね、もう一人は相手の髪をぎゅーっと引っ張る。
ちょうどその時、床がぐらりと揺れ、あつこのスマホからけたたましいアラーム音が鳴った。

〈チャラン〜チャラン♪ 緊急地震速報です。強い揺れに注意してください。〉


「「 キャー!!!! 」」


ゆういちろうとあつこはお互いにぎゅーっとしがみつく格好になりそのまま床にゴンッと強く頭を打ち、意識を失った。




それからどれぐらいの時間が過ぎたのだろうか。
意識を取り戻したのは誠と杏月の呼びかける声だった。

「良かったぁ。大丈夫ですか?」
「ドア開けたら白目向いて倒れてたからビックリしたんですよ」
「急に地震がきて倒れたみたいで…あれ?」

ゆういちろうは強く打った頭を撫でようとすると、肩まで長かった髪がないことに気付いて急いで隣に目をやる。
そこにはあつこも同じく驚いていたようで目を丸くしてゆういちろうを見つめていた。

「やったぁー!元に戻ったぞ!」
「さっきので戻れたのかな?やっぱりこの体が落ちつくわ。。。」

訳の分からない言葉を発して喜んでる先輩たちを見て、やっぱり救急車呼べば良かったのだろうかと誠と杏月は自分たちの判断を不安に思った。