おかあさんといっしょ 27
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NHK教育番組「おかあさんといっしょ」について語るスレッドです。
子有り子無し問いませんが、下記の【誘導先】に当てはまる方は移動してください。
>>980を踏んだ方は次スレ立てるのをお願いします。もし難しければ伝えましょう。
荒らしと感じたものはスルーしてください。
※sage進行推奨です
【誘導先】
番組の実況→番組ch(教育)板
育児や親同士の絡み→育児板
過去の出演者や人形劇→歴代スレ
ファミコン等のレポート→ネタバレいなばあ合同スレ
【前スレ】
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1626430272/ よるねむれない まくらとふとん
こわがりな おばけ
あめがにがてな レインコート
みずたまがすきな しまうま
おしによわい ボタン
あつまって
わになって
たきびして
でたこたえ
いいんじゃない
いいんじゃない
うん、いいんじゃない
いいんじゃない
いいんじゃない
うん、いいんじゃない
またね
https://i.imgur.com/MQIBbUL.jpg
https://i.imgur.com/op2zrtn.jpg ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 1月1日(日) 午前7:50〜8:14
1月2日(月) 午後5:35〜5:59〈再〉
「おかあさんといっしょ お正月スペシャル」
お兄さん・お姉さん・みもも・やころ・ルチータ・けけちゃまがお正月を楽しむ歌・ゲーム・手品で盛り上がります。
1月2日(月) 午前7:50〜8:56
「映画おかあさんといっしょ ヘンテコ世界からの脱出！」
2021年9月に全国ロードショーした映画です。地上波初放送！
1月3日(火) 午前7:50〜8:50〈再〉
「おかあさんといっしょ スペシャルステージ2022」
2022年8月にさいたまアリーナで収録し9月に放送した番組の再放送です。 『地球の歌』
作詞作曲：坂田修一
HEY！HEY！ ぼくらはみんな
地球のうたう あいのうたをずっときいてた こどもたち
HEY！HEY！ おぼえたうたを みんなでうたおうよ
うみや やまや そらや ほしに げんきです！とむねはって
ララ ランラン ララ きこえるでしょ
ララ ランラン ララ うたうこえ
ララ ランラン ララ せかいじゅうに
だいすき！ だいすき！ うたってる だから
HEY！HEY！ ぼくらはずっと
うたいつづけるよ 地球のうたうあいのうた
いつまでも ララ ランラン ララ
ララ ランラン ララ きこえるでしょ
ララ ランラン ララ わらいごえも
ララ ランラン ラララ せかいじゅうに
だいすき！ だいすき！ わらってる だから HEY！HEY！ ぼくらはずっと
うたいつづけるよ 地球のうたうあいのうた
いつまでも ランランランラン
HEY！HEY! どんなときにも
うたいつづけるよ 地球のうたうあいのうた
いつまでも ランランランラン
地球のうたうあいのうた いつまでも ランランランラン
https://i.imgur.com/FRYGpMZ.jpg
https://i.imgur.com/XxtXD08.jpg 『キミにはくしゅ！』
作詞：ありたろう 作曲：増田太郎
だいすきなキミに はくしゅ
キミにとんでいけと はくしゅ
うまくいくひも いかないときも
がんばるキミに だいはくしゅ
キミがわらうと とてもうれしい
キミとわらえば すごくしあわせ
ひとりじゃない どんなときも
おなじそら みあげてるから
たいせつなことは きっときっと
ことばじゃなくても つたえられる
だからもっと わけあおうよ
てをたたいて
だいすきなキミに はくしゅ
キミにとんでいけと はくしゅ
うまくいくひも いかないときも
がんばるキミに だいはくしゅ
うまれてきたことに はくしゅ
「ありがとう」をこめて はくしゅ
ひかるみらいの とびらひらくそのてで
はくしゅ はくしゅ はくしゅ〜 はくしゅ はくしゅ
みんなではくしゅ
いっしょにはくしゅ
じぶんにはくしゅ
だいすきなキミに はくしゅ
こころにとどけと はくしゅ
へこたれたひも なみだふいても
キミがいるから がんばれる
うまれてきたことに はくしゅ（はくしゅ はくしゅ）
であえたキセキに はくしゅ（はくしゅ はくしゅ）
ひかるみらいで ゆめをつかむそのてで
はくしゅ はくしゅ はくしゅ～
キミにはくしゅ！
https://i.imgur.com/C2FXvcB.jpg
https://i.imgur.com/x7Y8H0W.jpg 『はっぱっぱのハーッ！』
作詞作曲：堂島孝平
びゅんびゅん とびゅんびゅーん はっぱっぱが とびゅーん
しゅいーん ぱっぱ ひらりん とってもいいきびゅーん
びゅんびゅん とびゅんびゅーん はっぱが とびゅーん
しゅいーん ぱっぱ ひらりん そらをとびゅーん
はっぱのわたし ひらりんぱ かぜにのったら ワクワキュン
あれよ あれよ まいあがったよ ほら ぐんぐんぐんと てんたかく
びゅんびゅん とびゅんびゅーん はっぱっぱが とびゅーん
しゅいーん ぱっぱ ひらりん とってもいいきびゅーん
どこへゆくのか ドキドッキン なにがまつのか なぞだけど
きっとおこる とびきりなこと さあ だいハッスルで ぼうけんだ
ゆうきをもっていきるんだ せかいはうんとひろいんだ
でっかくさけぼう「はっぱっぱのハーッ！」 はっぱっぱ！ いっしょにとぼう
はっぱっぱ！ ハチもカラスも
はっぱっぱ！ ききゅうもおばけも
はっぱっぱ！ まほうつかいも！（しゃりら～ん）
びゅんびゅん とびゅんびゅーん はっぱっぱが とびゅーん
しゅいーん ぱっぱ ひらりん とってもいいきびゅーん
びゅんびゅん とびゅんびゅーん はっぱが とびゅーん
しゅいーん ぱっぱ ひらりん そらをとびゅーん ハッパかけてゆこう
びゅんびゅん とびゅんびゅーん
びゅんびゅん とびゅんびゅーん はっぱっばのハーッ！
https://i.imgur.com/jW9eJ4o.jpg
https://i.imgur.com/i0K73wS.jpg 最近は月〜水が新作で木金が再放送のペースかな？
番組まるごと再放送の週も月に一週あるのを考えると新作再放送が半々くらいか ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 「にこにこぷん」とフジテレビ「ひらけ！ポンキッキ」の相互共演を実現させた、放送作家の高見のっぽさん死去
88歳 『じゅんびばんたんたん！』
作詞：フジモ・トモミ 作曲：織田哲郎
じゅんびばんたんたん じゅんびばんたんたん
じゅんびばんたんたん たんたたん
じゅんびばんたんたん じゅんびばんたんたん
じゅんびばんたんたん たんたたん
コケコッコー
おはよう あさだよ さあおきて
きょうも いちにち たのしくなるぞ
じゅんびばんたん たんたんたいこが
きみの したくを おうえんするよ
あさごはん（たんたん）おきがえ（たんたん）
はみがき トイレ もちもの（たんたん）
わすれものは もうない たんたんたんたん
じゅんびばんたんたん じゅんびばんたんたん
じゅんびばんたんたん たんたたん
じゅんびばんたんたん じゅんびばんたんたん
じゅんびばんたんたん たんたたん
たんたんたたたん じかんだゴー ホーホーホー
おやすみ よるだよ さあねよう
きょうも いちにち がんばった
じゅんびばんたん たんたんたいこが
きみの したくを おうえんするよ
おふろ（たんたん）おきがえ（たんたん）
はみがき トイレ かたづけ（たんたん）
だんだんまぶたが とじるよ だんだんだんだん
じゅんびばんたんたん じゅんびばんたんたん
じゅんびばんたんたん たんたたん
じゅんびばんたんたん じゅんびばんたんたん
じゅんびばんたんたん たんたたん
とんとんとんとん おやすみスー
https://i.imgur.com/Z1129CV.jpg
https://i.imgur.com/KeJkr0r.jpg 【2023年度のスケジュール予定】
5/4～5/7
渋谷ファミコン（東京都）
7/8
川越ファミコン（埼玉県）
7/22
福井ファミコン（福井県）
8/19 8/20
埼玉スペステ（埼玉県）
8/26 8/27
大阪スペステ（大阪府）
9/23
広島ファミコン（広島県）
10/7
奈良ファミコン（奈良県）
11/3～11/6
渋谷ファミコン（東京都）
11/25
旭川ファミコン（北海道）
12/9
秋田ファミコン（秋田県）
12/22～12/24
大阪ファミコン（大阪府）
1/20
浜松ファミコン（静岡県）
2/3
松山ファミコン（愛媛県）
2/17
川崎ファミコン（神奈川県）
3/2 3/3
福岡ファミコン（福岡県） ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 『隣居心地が良かったです』
うららかな春。
小鳥のさえずりが耳に心地良く聞こえ、窓の下から見える花壇には色とりどりの花が暖かい光を浴びて気持ち良さそうに咲いている。
優しい色合いをした桃色の列を作った木からは優雅に落ちていく桜の花びらが美しく、歩く人の足を止めては舞を見せる。
あれからいくつの月日が経ったことだろう。
スタジオでは子どもたちが側にたくさんいて、隣では歌う者同士肩を合わせて歌ってた姿が今となっては遠い思い出だ。
当時よく真ん中に詰め寄って広々としたスペースを陣取り、先輩だからと言って好き勝手に肩を揺らしながら隣で心地良く歌っていたあつこが番組を去って、早一年。
そして今年もまた僕がだれよりも一番上の先輩だ。お山の大将だ。ビッグボスだ。
廊下では新入社員らしきスーツ姿の若い子たちを至るところで見かける。
これも春の風物詩だなと初々しいその姿を見ては笑みを溢した。
すると、後ろからダダダッという駆け足が遠くから近づいてくることに気付いて振り向いた。
「アニキー！」
「かずむ・・・」
やって来たのは、体操のお兄さんとして就任したばかりのかずむお兄さん。かずむ。僕の新しい後輩だ。
今年冬にサプライズとして番組を卒業した後輩まことくんと交代でやってきた後輩あづきちゃんの新しい後輩の相方で、年は僕と同じ干支ということもあり去年新しく入った後輩まや以上に年の差が一回りも離れてる後輩で、つまり正真正銘の後輩なのだ。 「仕事の外ではゆういちろうさんって呼べって言ってるだろ」
「へいへい。今日収録中止になったそうです。機材が故障したみたいで」
「そっか、じゃ今日はゆっくりしよ」
「折角なんで空いた時間みんなで109で服見にいきません？」
「う～ん」
かずむはファッションが好きなだけあって服に関することならなんにでも首を突っ込む好奇心旺盛な男の子だった。
最初の頃は年に差もあるし話合わせられるかなという不安もあったけど、向こうから何でも興味を持ってくれて、空気読むことにも長けてて、思ってた以上に早く僕たちの輪に馴染んで溶け込んでいた。
かずむは後輩の一人に違いはないけど体操側の人であり同じ畑の先輩はあづきちゃんだ。
だから一年前のまやのような教育係に縛られるプレッシャーを特に感じることもなくて、お互い気楽に冗談も言える先輩＆後輩の関係を楽しんでいた。
「楽屋でゴロつきたいからいいや」
「また横になるんですか」
不満そうな顔してるのは分かるけど文句は言わせない。
それでも後輩に変わりはないのだから。
「109は僕の年齢に合わないし人混み苦手なんだ。あと今はいつどこでだれに写真撮られるか分からないから気をつけるんだぞ？
三人で間違って円山町にでも足運んでしまったら勘違いされてさん」
「へいへい。渋谷のファッションセンター久しぶりだなぁ♪」
「へい。は一回」
「へい！ゆういちろうさん！」 かずむを迎え入れた初日のスタジオ。
まやは初めて入れ替わった体制の現場でこの日後輩を持ったことで先輩となり、あづきちゃんは二度目になるけど長く共にした相方まことくんと別れて寂しさと不安な気持ちが混ざりあった様子で新しい相方となるかずむを笑顔で受け入れていた。
この日は普段と違って両サイドから異なる空気が伝わった。
まやは新しく来た人物のかずむを檻にいる動物みたいに物珍しそうに見ており、あづきちゃんはいつも以上に肩に力が入っててまたいかり肩になっていた。
ここは年長者のボスである僕が引っ張らなくてはと思い、ただマニュアル通りに進めることだけに集中して何本か撮り、無事一週間分の仕事を終えることができた。
キラメキハッケンジャーという新しいコーナーでは、最年少のかずむが最年長の僕をどさくさに紛れて呼び捨てにしたときは内心驚いたけど、寛大な先輩の姿を見せようと大目に見つつ最後まで5歳になりきった。
「最近の若者ってよく分からないな…」
後ろには来月控えてるファミリーコンサートで準備するダンボールが山積みになっており、それが倒れてこないよう気をつけながら長いソファーの椅子に寝転がった。
そして、今さっき自分の口から出た言葉に思わずハッとする。
一番上の先輩で、年長者で、一回り近く年も離れたメンバーの・・・
僕にも今のかずむのように初々しい頃があった。
あの頃は出演者の入れ替わりが多くスタジオ全体も慌ただしい日々だったーー・・・。
『最近の若者はよく分からんな』
今から6年前、リーダー的存在でもあり、皆をまとめていたよしお兄さんことよしおさんは僕を含めた5人の新人を迎えた経験のある番組の最長記録を持つベテランの人だった。 『なに読んでるんですか？』
『いちろうか。ワンピースだよ。知ってる？』
『ゆういちろうですよ。あー名前は。』
『笑いあり涙ありで面白いぞ。お前名前長すぎるんだよ』
『へーそうなんですね。他の二人は呼べていますけど』
『俺は子どもたちの為に思っ、お、そうだ！』
突然よしおさんはなにかを閃いたか読んでいた漫画を閉じてそれを僕に差し出した。
『これ全巻持ってんだけど良かったら一巻から読む？俺たち共通する趣味無かったけどこれで』
『えーっと、気持ちはありがたいんですけど、少年漫画あまり好きじゃなくて…』
『…そっか。無理強いはしないさ。普段は漫画って読まないの？』
『一応昔は少しだけ読んだものありますよ。ベルサイユの薔薇とか、王家の紋章。読んだことあります？』
『名前は知ってるけど内容は知らないなぁ。それって今の若い男性の間で流行ってるの？』
『舞台にもなったポーの一族とか』
『最近の若者はよく分からんな』
と、よしおさんは手に持っていた漫画をテーブル上にある自分のカバンに入れようと手を差し伸ばした。
と、そのとき、カバンの近くにあった籠に手があたってしまい、いくつかの小物が落ちてしまった。
『ごめん、悪い…』
『いいえ、あっ！』
拾った小物の中には馴染み深いある物が手にあり、思わず声を上げてしまった。 それは手のひらサイズほど長くて軽い棒のようなもので、先端には笛部分と反対の先端からはかたつむりの殻みたいに巻かれた薄い紙袋のようなものが付いていた。
幼い頃、縁日のお祭りのくじ引きでよく引き当ててばかりいた音が鳴るオモチャの笛。
嬉しさのあまり笛部分に思わず口付けて吹いてみた。
『フフ、世代の壁を感じない笛だな』
横で笛を吹く僕を見て微笑んだよしおさんも同じように笛部分に口を付けて紙袋を縮ませては伸ばして吹くことを楽しんでいた。
『ピーヒョロローって名前でしたっけ？これ』
『ピロピロピーって聞こえないか？名前はちゃんとあったよ。たしか・・・』
「ぃちろうさん！ゆういちろうさん！！！」
気が付くと目の前にはあづきちゃんがいて仰向けになってる僕を心配した顔して呼んでいた。
「大丈夫ですか？私結構前から部屋に入っていたんですけど、ずーっと天井見つめて動かないでいたから心配になっちゃって…」
「三人で買い物に行ったんじゃ？」
「出ようとしたらちょうど」
と言って、あづきちゃんは窓から映しだされた大雨の姿を指差した。
「私とかずむくんは行くのやめたんですけど、まやちゃんはどうしても今日中に買いたいものがあるからって。
カッパ着て一人で出ていっちゃいました…」
「へぇ、まやにも熱心な一面あるんだな」
もう起き上がっていた僕は欠伸をした。
隣ではあづきちゃんがそのまま横でぼんやりとした表情で座っている。 「まやちゃんこの一年成長が著しいですよね。今年から一人でコーナーも持ったし、度胸もあって頼もしいし」
「そう？近くにいるからよく分からないのかな」
「元々持ってる実力もあると思いますけど、歌も日に日に上手くなってて凄いなぁって思うし、ゆういちろうさんの指導もあると思いますよ」
「そ、そうかな？あ、ああいつさ、最近またダイエット頑張ってるみたいなんだ…」
突然、あづきちゃんがストレートに褒め言葉を言ってきたもんだから照れくさくなって、つい、先週レコーディングをしたとき「明日から頑張る！」とチョコやスナック菓子を頬張りながら4回目のダイエット宣言をしたまやの最新情報も口を滑らせてしまったが、恥ずかしさのあまり気づけないでいた。
「かずむくんは私が先輩で大丈夫かな」
「あづきちゃんなら大丈夫だよ」
「そうですかねー・・・」
あづきちゃんはネガティブなところがある。
真面目なあまり自分自身を締めるような部分が時々あった。
「かずむは若いわりには仕事のオンとオフができてるし初日からずっとしっかりしてるじゃん。
うちのは元気があるのは良いんだけど『まやだよ～～ん』ってやってた初日からずっと変わらないから一度は緊張の緊の字でもデコに書いてみたいもんだよ」
「アハハ！」
片足おっ広げて挨拶をしていたひょうきんなまやを真似てみたらあづきちゃんの表情から暗い表情は無くなっていつもの華やかな笑顔がそこに咲いていた。
しかし、この和らいだ空気がこれから数分後には重くのしかかる気まずい空気になることを僕もあづきちゃんも知らないでいた。
〈つづく〉 ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 ぽんみゃーって専ブラ使ってないから連投が意味ないの知らないんだろうね 二人でそのあと雑談しながら話していると後ろからドアを開く音が聞こえた。
「腹減った～」
かずむの声だ。
手前にあるテーブルの椅子を引く音とドスっと腰を下ろす音、売店で昼ごはんでも買ったのかビニール袋のカサカサした音が聞こえる。
僕たちとかずむの間には山積みになったダンボールがあるからお互いの顔が見えないようになっていた。
あづきちゃんがその場で立って声をかけようとした、その時、また後ろからドアを開く音が聞こえた。
「ただいまー！！すごい風と雨だったよぉー！！！あれれ？かずむっち一人？」
まやの声だ。
大雨の外から帰ってきたばかりだからか声が人一倍大きい。
「おー、まやのすけ。誰もいな…そういやアニキ楽屋で…？まぁいいか。手に持ってるそれ何？」
かずむはまやの呼び名が定まってないらしく、まやたろう、まやいちろう、まやごろう、まやざえもんなどと男の定番名前を後ろに付けて呼ぶこともあった。
始めの方はまやさんと呼んでいたけどお互い年齢が近いから波長が合うのか、今では元からクラスメイトの友達だったかのように仲が良い。
「ふっふっふ～！・・・じゃじゃーん☆
噂の焼き鳥屋の、串盛りセット！！！」
ガサガサッとさっきのかずむ以上に袋の大きな音を立てて、まやの声は誇らしげだった。
「今日でクーポン切れるからどうしても買いにいきたかったんだ～！」
「すげぇてんこ盛り…。昼飯に女子が焼き鳥食べるってのも凄いよな」
風と雨が強い中どうしても買いにいきたいものがあると一人カッパを着て出て行ったという、まや。
その話を聞いて、弱冠不審にも思ったけど熱心さのある一面の姿を想像してちょっとだけ心が動いた数十分前の自分が馬鹿に思えてきた。 「でもこれアニキに見つかったら…。しかも昼飯の内容おっさんかよ」
「お腹ゴロゴロして横なりたいからって早退したんでしょ？」
「『おーなんかゴロゴロして横なりたいから行かないって、そうだ！』って言って、財布忘れたから取りにいったんだよ。そうだ！を早退と聞き間違えたのか？」
かずむの滑舌が悪かったのかはその場にいなかったから分からないけど、まやの聞き間違いは今に始まったことじゃなかった。
去年のまやの誕生日。
僕とまことくんとあづきちゃんの三人でお金を合わせてまやにプレゼントをあげた。
あの時のプレゼントやっぱり僕が候補に挙げてた高級耳かきをもっと強く推しておけば良かったと二人の会話を聞きながら思った。
「言わなきゃバレないだろうけどさ～」
「・・・。お代官様！良かったらお好きな串をお取りくだせぇ！」
「うむ、じゃこのハツを頂こうかの？」
「そちも悪よのう」
時代劇のセリフを真似た後、アッハッハッハ！！と二人の高笑いが部屋全体を包んだ。
「そういえば来月初めて地方に仕事行くんだよね？い～な～！いただきまぁふ」
「そうそう！ご当地のご飯めっちゃ楽しみ！」
「あつきはん優しひし二人で羨まひいいな」
「あ、ああ…。そうだな…」
「どひたの？急にくはい顔ひなっへ」
口の中で焼き鳥をたくさん頬張ってるらしくモゴモゴさせた喋りをしたまやは声のトーンが落ちてるかずむに聞いている。
そして、話題になってる隣にいるあづきちゃんの顔をそっと盗み見ると、案の定強張った表情をしていた。 「俺さ、あづきさんと何喋ればいいか分からなくて時々少し緊張するときがあって。
アニキとまやのすけ皆でいるときは楽しく話できるんだけど…」
「フツーに身のまわひのこほ話へばいいはん？ひん体ほう繋がひもあるんらから」
「ひん体ほう？新体操のことか？それならたまにするけどもうネタが無いっつーか。話も続かないっつーか。
・・・まやのすけも、アニキと二人で仕事しててギクシャクした時ってあった？」
「あるよー！！！！」
「へー？例えば？」
「今はもう慣れたけど最初の頃はまやまやまやまや言ってたし、気抜いてガニ股で歩いてたら慎ましく歩くよう自分から見本見せてやり直しされたり、甘いものインスタントもの食べるなとか煩いし、曲よく聴けって言っておきながら自分は先輩だからって言って好き勝手に歌ってたり、あ！それと！何でか知らないけど昔から立ち位置の距離に敏感でさ！この前なんて間違って真ん中に寄ったら…」
僕の話題になった時ちょうど口の中にあった焼き鳥を食べ終えたようで、ハッキリとした口調で延々とまやが僕への愚痴を並べていた。
しかし、日頃から誰よりも一緒に過ごす時間が長いからまやの考えは何となく分かっていた。
内心こう思ってたりするんだろうなと前から薄々思ってて先手を打ってもいたから、後ろでまやがどんなに口から無数の槍を飛ばしても僕にとっては痛くも痒くもなかった。
ただ、隣にいる人が。
「でもなんだかんだ楽しそうじゃん。
あづきさんは親切で丁寧でよく褒めてもくれて、良い先輩に恵まれたなって思うけど、最近はそれが気遣うっつーか。
ふざけて冗談でも言ったら傷付きそうで取り扱いが怖いっつーか…」
かずむはだんだんと声が小さくなっていった。
あづきちゃんも変わらず表情が暗い。 後輩が先輩の愚痴を言う。
というのは古今東西。
今の僕達の状況に限らず、昔から、別の場所でも、どこにでもあることだ。
僕も周りが先輩しかいなかった頃、自分の気持ちを口から外に出して正直に言えるはずもなく呑み込んでばかりで我慢していた。
だけど、ずっと我慢していたわけでもない。
今のまやとかずむみたいに僕にも同期に近い人が側にいたからそこから始めとして自分の正直な気持ちを安心して吐くことができていた。
またその相手も同じだったようで、先輩やスタッフの愚痴を二人でよく口から吐いて心も清らかになったあとスタジオに向かうこともあった。
だからデトックスすることも大事。
でも今は分が悪い。
悩みをまだ打ち明けてるかずむもまさかダンボールの山積みに隠れたソファには僕と当の本人あづきちゃんがいるなんて思ってもいないだろうし、聞かざるおえないあづきちゃんも肩がどんどん下がってきている。
重い空気になんとなくポケットに手を入れるとある固体に触れた。
そしてその固体を取り出した僕は慣れた手つきで触る。
「ん？アニキからだ。今外から戻ってきて荷物あるから急いで一階フロアに来て欲しいって。まやも居たら一緒に来て欲しいって。」
「ほらー、やっぱり早退だったんじゃん！」
「早退なんて言ってたかな…。ちょうど食べ終えた頃だし行くか」
椅子を引いてドアの閉める音が聞こえると、部屋はすっと嘘のように静かになった。 「全く…。最近の若者は…。ベラベラとよく喋ってばかりで嫌になっちゃうなぁ！」
と、強気になって笑ってみせたけど、あづきちゃんの表情は変わらず床をじっと見てるだけで無言だった。
こんなにも部屋の壁にかけられた時計の針が煩く感じるのは初めてだ。
「人ってやっぱり相性ってあるんですかね」
静かな部屋にそっと呟くあづきちゃんの声が響いた。
「気にするなよ。僕より愚痴少なかったじゃないか」
「は、はははい。えーっと、でも、かずむくんの本音も知れて少しホッとしてます」
「自分がどう映って見えるのか不安なのは分かるけど後から入って来たかずむの方がもっと不安あるんじゃないかな…」
あづきちゃんは「ふぅ」と小さく深呼吸したあとゆっくり立って僕の前にお辞儀をした。
「スマホありがとうございます」
お辞儀から顔をあげたあづきちゃんはいつも見る笑顔のあづきちゃんだった。
でも唇を噛みしめて笑う姿はこのとき見るのが初めてだった。 暖かい春でも日が暮れるとひんやりと肌寒くなってくる。
ちょうど帰り道が同じだったかずむと二人肩を並べて前に立つ二つの影を見ながら歩いていく。
「本当ですかぁ？」
「本当だよ」
「早退なんて言葉聞いてないんすけど」
「ちゃんと耳掃除してる？」
「しっかり耳掃除してますよ。本当に本当？」
一階のフロアで外からの出入口自動ドアに向かって立ち話をして待っていたまやとかずむは、後ろからやって来た僕に驚いていた。
かずむは出てくる場所と雨なのに靴が濡れてないことに怪しんでいたけど、まやは元々ソファの後ろにあって持ってきたダンボール箱とは知らずに得意気になって運んでいた。
楽屋に戻ったら先に帰ったあづきちゃんの姿はなかった。
その後かずむも飲み物買いに出て行ったから、楽屋で二人きりになったまやに「最近焼き鳥食べてないなぁ。今度皆で行く？」と言ってみると「あぁ！いいですねー！」とさっきまでテーブルで食べてたことは知らないふりをして言葉を返していた。
「本当に本当だよ」
そのまま無言になって二人歩いていくと少し先に一本の桜の木があった。
その木のところまで近づくと花は殆ど散っててて地面の一部は柔らかいピンク色の絨毯になって広がっていた。
「綺麗！…ん？なにしてんの？」
背を向けて座ったままかずむは何やら夢中になって集めてて、急に立ち上がったら少し離れたてから駆け出し目の前でバク転をした。
「はっぱっぱのハーッ！」
バク転から着地したあと、僕の正面に両手から勢いよく地面に落ちてたピンク色の花びらが下にヒラヒラと落ちていく。 「葉っぱじゃなくて花びらなんすけどね」
「ハハ、桜の葉は紅葉してから落ちるからなぁ。今は出てきたばかりだからどれも木にしっかり付いてる」
「桜って落葉樹なんでしたっけ？力強くて綺麗な緑色っすね」
「桜の木は本当は花がフィナーレで葉がスタートの印だからな」
緑の若葉が次第に色を変えてピンクの花に変わり花はまた新しい若葉と交代を何度も繰り返す。
最近任期を終えたまことくんとバトンを交わしこれから始まるかずむがそれらと重なり不思議な気持ちにもなった。
「アニ、ゆういちろうさん。そういえば前から思ってたんですけどなんでテレビでは吹き戻しの笛みたいな喋り方するんですか？」
「子どもが喜ぶからね」
「へ～！専門家から聞いたとか本でも読んだんですか？」
「いやたぶんそうだろうなって」
「え？ああ…そうなんですね…」
子どもの頃何度も楽しく吹いていたあの笛。
当時周りの子たちもよしおさんも楽しそうに吹いていた。
「良かったら真似してもいいよ」
「大丈夫っす」
それから少ししてからその場から離れ、桜の木を背にした僕らはまた歩き始めた。
さっきまであった影はもう姿を消していた。
ある道にきたらそれぞれの帰途に分かれて帰ったけど、ポケットの中にあるスマホの中にはかずむが撮って送った同じ写真の若葉が入っていた。
〈完〉 ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 月歌小説さん久しぶり
怠けてないで来月号も原稿頑張ってね 『むしむしフェスティバル』
作詞作曲：かしわ哲
ぼくはここでおどる きみはどこでおどる
はっぱのうらでおどる つちのなかでおどる
むしむしフェスティバル
おどれ！おどれ！おどれ！
カマキリ クワガタ ありんこ ちょうちょも
いけいけカブトムシ バッタバタバタッ
むしむしフェスティバル
おひさままぶしい かぜがやさしい
むしむしフェスティバル
おどれ！おどれ！おどれ！
ちいさなころから おおきくなっても
きみのそばにいて いっしょにいきてる
むしむしフェスティバル
おおきないのちも ちいさないのちも
むしむしフェスティバル
おどれ！おどれ！おどれ！
むしむしフェスティバル
からだがはねるよ こころがはれるよ
むしむしフェスティバル
おどれ！おどれ！おどれ！
おどれ！おどれ！おどれ！
おどれ！おどれ！おどれ！
https://i.imgur.com/hi5SqoR.jpg
https://i.imgur.com/ynKZ7rq.jpg はらぺこカマキリの代用だと思った
あとブースカパーティーもしばらくやる予定がないから似た曲にしたのかも ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 ここは隔離スレです
荒らしが行ってきた証拠のコピペ活用は>>7>>18
テンプレは>>229 0232 名無しさんといっしょ 2022/04/07 23:16:02
今日の放送を観ていないから知らないけれど、
あつこはどんなことを話して、どんな感じだったのですか？
ID:mrK1nMOC こっちが本スレとは書かれてるけど過疎なんだよなぁ
あっちは育児や親同士の絡みも関係なくなってるし ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 姉２人の地方収録もいいね
たぶんまや姉はピンチヒッターなんだろうけど 『きみのえがお』
作詞：Rico 作曲：肥後憧子
（きららん きららん ららん らん きららん きららん）
しってる？ きみのえがおって
ほんとうに すてき
だから わらってほしい
もっと わらってほしい
だってさ きみのえがおは
あめにも まけない
だから わらってほしい
もっと わらってほしい
あはは はは はろー
おそらに さいた ひまわりみたい
うふふ ふわ ふわ
なんだか きょうも しあわせみたい
（きららん きららん ららん らん きららん きららん） どうして？ ぼくらのえがおって
にてるの ふしぎ
だから ならんでみよう
もっと わらってみよう
すごいね ぼくらのえがおって
にてるの ふしぎ
だから ならんでみよう
もっと わらってみよう
すごいね ぼくらのえがおって
ことばも いらない
だから ならんでみよう
もっと わらってみよう
あはは はは はろー
ひとつ ひとつが ほうせきみたい
うふふ ふわ ふわ
なんだか きょうも しあわせみたい
みんな みんなで わらっていたい
（きららん きららん ららん らん きららん きららん）
https://i.imgur.com/EXaelZ4.jpg
https://i.imgur.com/Q5a55Zb.jpg エンディングで風船取りに駆け出しキッズがいて嬉しいね 「おかあさんといっしょ」って、まだ不自然に距離があって監視役の親も付いてるのに、
「医療専門家の監修のもと収録…」云々ってテロップ、もう出ないのね。元に戻ったのって、声出しと最後に風船が落ちてくるぐらいか… ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 おかあさんといっしょのエンディングで天井から降ってくる風船。
天井にいるスタッフが、スタジオ上の土足で汚れた床に山積みにされた風船を素手でスタジオの下に投げ落とすので不衛生だし、
土足のスタジオに降ってくるのも これまた風船が汚れて不衛生だし禁止してほしい。 ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 「延長の手続きしておきますね」
「すみません、お願いします」
話が終わって電話を切ると、画面を地図のアプリに戻して指示通りに歩いていく。
見慣れない住宅に少し不安もある中でふと見上げたとき目にした空を泳ぐ魚の親子たちの姿を見つけると心が自然と爽やかに解れていく。
でも手はそれと反対にじんわりと出てくる汗。
日差しの強さが増してるからだろうか。
いや違う。
これは緊張の汗だ。
なぜなら今から、
今目の前にあるここが、
〈ピンポーン〉
「はーいちょっと待ってくださーい」
ドアの奥からはチャイムを押した相手に呼びかける声があり、何かを引きずりながらゆっくり近づいてくる足の重みが聞こえてくる。
そしてドアの取手がまわる音に息が詰まる。
「あづきさん…？」
「久しぶり！元気にしてた…！？」
ここが、かずむくんの自宅だからだ。 「なんで？え？え？え？」
「チーフからねっ！かずむくんに渡して欲しいって頼まれて台本持ってきたのっ！」
かずむくんは目が小さいけどこの時ばかりは鳩が豆鉄砲を食らったかのように目を大きく開いて凄く動揺していた。
「そうなんすね。散らかってますけど折角来てくれたんですし、良かったら茶でも…。
あ！ダメ！すみません、今だけここで待ってもらっていいですか！？」
私が返答する前にかずむくんは急いでドアを閉めると足を引きずりながら騒がしく音を立てて片付けている様子だった。
ドアの外で待っていた私は、早速出始めに失敗一つをやってしまった。。。と、反省した。
普通は訪問する前に相手に連絡するのが先なのに。
この訪問は私が率先してかずむくんの自宅に書類を持っていきたいと申し出たものだった。 一緒に仕事を始めて三ヶ月。
私達の間には見えない壁のような物があった。
先月まやちゃんとの会話の中で私との距離感に悩んでると話していたかずむくん。
運良く私の姿は隠れて見えていなかったけど直接聞いた中で思ったことは「やっぱり」と「そうなんだ」の二つ。
「やっぱり」の方は私もかずむくんに感じてたことだから共感できるものだったけど、「そうなんだ」の方は自分でもこの時初めて知った感情で、もしかしたら少しは好いてくれてるかなという浅はかな期待を実は持っていたということに気付いてガッカリしてるそんな自分自身に驚いた。
けど、これもなにかの縁で繋がってこれから一緒に歩んでいく仲間。
このままでいるのもよくない、変えたい、って気持ちの方が日に日に大きくなっていた。
今までは先輩のゆういちろうさんあつこさん、同期だったけど年上ということもあってリードしてくれたまことさん。
その他これまでの身近な人間関係は友達も引っ張ってくれる子もいて、私は周りに任せて付いていくだけということが多かった。
だけど今の私は先輩。
引っ張っていく立場の人間だ。
かずむくんの心境を聞いてからと言うもの自分のこれまでの甘えていた姿に初めて考えるキッカケを持つことができた。
とりあえず二人でじっくり話ができる機会が欲しいなと考えていたら、かずむくんへ書類配達をする仕事の依頼。
タイミングよく出てきたこの依頼に飛びついた私はかずむくんと話するぞとばかり考えて今の実態だ。
一つのことが気になると周りが見えなくなるのは私の悪い癖だ。 じっと見つめていたドアがギィイと鈍い音を立てて開かれるとかずむくんが「どうぞ〜」と苦笑いしながら招き入れてくれた。
「お邪魔します…」
ドアノブを掴んだまま開いてくれるかずむくんの横を少し屈みながら小さな玄関に靴を端に並べて家に入った。
「ごめんね、連絡無しで急に来ちゃって…」
「友達もよくアポ無しで来るんで全然大丈夫ですよ！でもあづきさんは先輩だし散らかった部屋通すの失礼かなぁって、ハハ…」
「私ってばもうほんと。ごめん…」
「狭い部屋ですけどこの座布団に座ってください。飲み物麦茶しかないんすけどいいですか？」
「ありがとう。それとねこれ。皆からのお見舞いのお菓子。良かったら後で食べてね」
「グミもある！あざっす！」
かずむくんに通された目の前の座布団におずおずと座ってゆっくり辺りを見回した。
女子校育ちの私はこれまで異性の友達がいなかったから男の子の部屋に入るのは初めてだった。
数冊積まれた雑誌、見覚えのあるキャラクターのフィギュア、空き缶とティッシュの多いゴミ箱、その他大雑把に畳まれた服が数枚所々無造作にあって、THE 男の子の部屋！という空間に少し新鮮な気持ちになった。 「どーぞ」
「ありがとー」
大きなペットボトルから麦茶を注いでくれたかずむくんからグラスを受け取った。
「これ家族が持ってきた地元のピーナッツのチョコ菓子なんすけどめちゃくちゃ上手いんすよ〜」
「落花生チョコクランチ？落花生って千葉の特産品だよね。美味しそう〜！」
小皿に置かれたいくつかの小分け袋を一つを取って破くと、半球の形をしたチョコレートに包み込まれた落花生の小さなお菓子が手のひらで可愛くコロンと出てきた。
「いただきます」
コーンフレークのサクッとした軽い音と落花生のカリッとした歯応え、チョコの甘さも上手く馴染んだ一口サイズのお菓子。
口の中で混じり合った奇跡のハーモニーに顔がほころんでしまう。
「美味しい！」
「ですよね！まだ沢山あるんで食べて下さい」
「じゃお言葉に甘えて…」
と、また新しい小袋を開けて落花生チョコクランチを口にする。おいしい…。
じゃない！
今日来た目的はかずむくんに渡すのがあって来たんだった。
「はい、持ってきた台本。全員揃ったときにやるみたいだから後でゆっくり読んでみてね」
「コンサートも始まったばかりなのに本当すみません」
「そんな、怪我のアクシデントなんて誰にでもあることだし、かずむくんは悪くないよ！」 ふと、自分の今出た言葉にハッとした。
数週間前、図書館で見つけた『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言い換え図鑑』という本。
【プラスの言葉を使って「好印象な人」になろう】
悪くないという言葉にはマイナスな要素があって相手に余計プレッシャーを与えるというパターン。
人によっては遠回しに圧を感じてしまいやっぱり自分が悪いんだと思われてしまうこともあるんだとか。
と、さっき図書館で延長したばかりの鞄の中にある本の内容を思い出しながら、コホンと軽く咳をして言い直してみた。
「ごめん、言い直させて。怪我のアクシデントなんて誰にでもあること、だけど！これを経験にして心も体も強くなっていけると思うっ」
「…？…そうっすね！ありがとうございます！そう言ってもらえるとホッとするな」
後になって自分から言い直すことを言うのも変かなとも思ったけど、麦茶をグイッと飲みながらはにかんで笑うかずむくんを見たら私も嬉しい気持ちになった。
その後は少しずつ馴染んでいけたのか、私も、たぶんかずむくんも、麦茶とチョコピーナッツを口に含みながら、休んでる間にあった仕事の出来事や小話を楽しむことができた。 「それにしても本当にかずむくんってファッションが好きなんだねぇ。この赤いジャケットなんて華やかでオシャレ！」
壁に掛けられた赤いジャケットを指さして言うと「うちの兄とのお揃いなんです」と少し照れながら答えていた。
「お兄さんと仲良いんだね。今度仕事でも着てきてよ！」
「でも派手過ぎて教育番組のイメージ崩れませんかねぇ…？」
「そう？かずむくん体操の服でも赤色バージョンが似合うから見てみたいなぁ」
「マジすか？嬉しい。赤色好きなんです…」
『相手もよろこぶ 私もうれしい オトナ女子の気配り帳』というこれも図書館で借りて延長してる本。
【相手の魅力をキャッチしてさらりとほめる】
→魅力を声に出して伝えるだけで距離がグッと縮まる
本当だ。本当にそうなりました。ありがとう。。。
今の自分の心を絵文字で表したら両目から滝みたいに涙を流してる絵文字だろう。
そんなことを考えていたら、ふと近くにある山積みにされたファッション雑誌に目が留まった。 「雑誌も買ってるんだ〜！かっこいい服！」
と、雑誌に手を伸ばそうとしたそのとき、
『バンっ！！！』と力強い音が手のすぐ近くで鳴った。
「あ、ハハ…。その、なんていうか、蚊！」
「え？」
そう言ってかずむくんは私が手に取ろうとした雑誌一冊の下にある数冊の雑誌も全てまとめて取って急いでベッドの下に隠した。
「表紙に、蚊がいたんです…！あづきさん刺されたら危ないと思って…。でも逃げられたんで！とりあえず窓開けておきますね！！！」
「そうなの？ありがとう…。それにしても雑誌まで購入してるだなんてかずむくんは研究熱心だね！偉いなぁ！」
「研究、、、そうっすね…」
表紙に蚊なんていなかった気もするけどでも私はぼんやりしてるところあるから本当に蚊がいたのかもしれない。
小さなベランダに繋がる窓を開けて背を向けていたかずむくんはなかなか振り向かずしばらく外の景色を眺めていた。
その後、おずおずと正座で座りなおして麦茶をズズっと飲んだかずむくんは手に持ったグラスにまだ残ってる麦茶をじっと見つめたまま黙ってしまっていた。
そんなに蚊を逃がしてしまったことに落ち込んでいるのかな… 沈黙が続く中でどうしようとまた手の中で変な汗をかいてしまった。
鞄の中に延長した図書館の本があることを思い出した私はアドバイスを求めようと思いつき、当の本人は麦茶と睨めっこしていたことをいいことに気づかれないようチラチラと様子を見つつ、鞄の中でそっとページを開いた。
【「緊張しますね」と自分から言って空気をほぐす】
→素直な気持ちが場の空気を軽くする
なるほど。たしかに私達は今なぜか唐突に緊張している空気がある。共感って大事。
「へへ、なんか緊張してきたね」
「えっ！？？」
「え？」
麦茶から顔を離したかずむくんは玄関のドア開いたときの目よりも大きく見開いていた。
こんなに大きく目を開けるんだ…。
「なんで急にそんなこと言うんですか」
これは外しちゃったのかな。
あくまで参考書だから必ず当たるとは限らないもんね…
でもなんでかずむくんは眉をひそめてそんなショックを受けた顔するんだろう…
とりあえず私は急いで「ごめんね」って言うと「いや…」と、かずむくんは顔を横に振り、肩を落として落ちついた声に戻って言葉を続けた。
「そんなつもりで言ったんじゃないんです。俺が勝手にあづきさんを美化してただけで…」
「美化って！私そんなに美人じゃなくて顔濃すぎだし決断力も無くて頼りないよ〜」
そう言って笑うと「そんなことないですよ！」と、かずむくんは力強く答えた。 「いつもニコニコしてるし、分け隔てなく誰にでも優しいし、仕事も臨機応変に動けるし、相手を立てるし、スタイルも良いし、あと」
「と、ととっ！ストップ！ありがとう！！もういいよっっっ！！！」
人から直接こんなにたくさん褒められることがあまり無かった私は慣れない言葉に顔が沸騰していくのが分かって慌てて顔を隠すように俯いた。
今顔を上げたらかずむくんの目の前に映る自分はタコみたいに顔が真っ赤だろう。
それから少しして顔の火照りが落ちついたのを感じとってから大きく深呼吸した。
そうすると次はまやちゃんとの会話で偶然耳にした私との距離感が頭に浮かんできた。
「あのさ、正直に答えて欲しいんだけど、かずむくんは私と接してて今みたいに緊張するような、とっつきにくいなぁって、思うことあるかな」
「なんでそんなこと聞くんですか？」
「嘘付くのは慣れないから正直に言うね。三人で109行こうとしてたとき大雨で行けなくなったときあったでしょ？
あの後の楽屋で私もいて、たまたままやちゃんとの会話聞いてしまったんだ。盗み聞きするようなことにってしまって申し訳ないけど…」
「そうだったんですか…」
また沈黙の空気が私達の元に戻ってきたけど、でもさっきの沈黙と違って今はそんなに悪い沈黙には思えなかった。 「少しありますかね」
かずむくんは消え入りそうな声で答えた。
「そっか」
「でもあづきさんが嫌いとかじゃないですよ！繊細そうだからちょっとした冗談でもすぐに壊れてしまいそうというか…。
俺、スポーツ漬けの毎日で汗臭い男ばかりに囲まれてたからあづきさんみたいなタイプの人初めてでどう接したらいいのか分からなくて…。
自分から歩み寄ろうともしなかったのに勝手に苦手意識持っちゃって、本当にすみませんでした！！！」
頭を深々と下げて謝るかずむくんに顔を上げるよう伝えたけど、真っ赤に染まるかずむくんの耳を目にした。
かずむくんも今さっきの私みたいにきっとタコみたいになっているのだろう。
そんな"同じ”を知ると心がすごく軽くなって自然と笑みが溢れてきた。
「実は私ね。本当は人の上に立つこと先輩になることが嫌だったんだ。」
その言葉に驚いたかずむくんはやっと顔を上げてくれたけど頬はまだ少し赤く染まっている。
「まやちゃんもいるけど直属の先輩はゆういちろうさんだからどこか他人事のように見てたところがあったんだ」
「へぇー・・あづきさんにそんなちと黒いところもあったなんて驚きっす」
「フフ、私には同期のまことさんもいたしね。でもそんなまことさんがまさかの卒業。初めて言われたときは寂しかったけど内心焦ったよ。
私に身近な後輩がつくなんて想像できなかった…
いつも先輩として上手くできてるか不安で自分がどう見られてるかってことばかりで」
「・・・・・」
「今考えたら自分の見え方ばかり考えてて臆病だったなって思う」
自分の本音を人に伝えることがあまり無かったから心臓がずっとドキドキしていた。
すると少し俯いたかずむくんが「そんなことないっすよ」と、ポツリと呟いた。 「俺って身長低いじゃないっすか」
突然、かずむくんが自分自身のことを口にした。
「あづきさんは身長高い方だし見方によっては同じくらいかあづきさんが身長高く見えたり」
「そんなの気にすることないんじゃないかな？私は別に気にならないよ」
「でも前のお兄さんと並んだとき…」
そう言うとかずむくは口を継ぐんでしまった。
「まことさんがどうかしたの？大丈夫だよ言ってごらん」
私がそう言うとかずむくんはバツが悪そうな顔をして小さな声で淡々と話を続けた。
「新旧会見のとき、あの時は憧れの体操のお兄さんになれたことに嬉しくて有頂天だったんですけど、後でネットでその写真見たら俺と隣に立つまことさん身長差が凄いあるなと思って」
「そんな、、あの時はたしかまことさんシークレットブーツ履いてたから普段以上に高く見えただけよ。私との身長差あそこまで無いもの」
「でもあづきさんもまことさんもお二人手足長くてスタイル良いしお似合いじゃないっすか。写真に映ってる俺場違いだなって…あと…」
かずむくんは一瞬言葉が詰まったように話が止まったけど唾をゴクリと飲み込んでまた話を続けた。 「お母さんたちにどう見えてんのかなって気になってつい調べてみたことがあるんです。
想像した通りみんな前の体操のお兄さんの方が良いとかスタイルの差で残念がってる人が多くて…
でも見た目ばかり気にしても仕方ないから得意な新体操で認めて貰おうと思ったらこのザマで…」
と、怪我した足を指さしてかずむくんは言った。
「あづきさんも女性だし、ちっこい俺なんかよりもまことさんの方が良かったぁって思われてたりするのかな〜〜〜んていう、以上、佐久本のネガティブでしたっ！」
そう言うと、かずむくんはいつも私達に見せる目が溶けて無くなるほどの優しく笑う笑顔を見せてくれた。
私は、かずむくんのその笑顔が、初めて対面して会ったときから好きだった。
だけど、かずむくんもまことさんもどっちもそれぞれの良さがあるから誰が良いなんてのは思ったこともないし考えることもしないよ！
って、いつもの私なら急いで返事を伝えていた。
でもこの時ばかりは少し意地悪してみたい気持ちになり「う〜んそうだな〜」とわざと言ってみせて本音を黙っておくことにした。
そんなもったいぶって見せる私にかずむくんは「あ！」と言って眉間に皺を寄せていたけどまたすぐに目が溶けて笑ってくれていた。
それから数日が流れてーーー
「今日来るんでしたっけ？」
「うん、近くまで来てるって連絡あったよ」
「見舞いに行ってから友達みたいに二人仲良くなったよね？」
「そうですか〜？」 久しぶりにかずむくんと体操ができる私はこの一日ウキウキしてて、ホワイトボードに書かれた先月分の予定表を消しながら答えた。
するとその中で目をやったテーブルの上に置かれた半球の形をした紫色のある物が目に入った。
「私のカツラどうかしました？」
「この前かずむくん家でご馳走になった落花生チョコクランチに似てるなぁと思って」
「えー！何ですかそれ！私も食べたかったな」
「今度取り寄せて一緒に食べようね。それよりこれ被ってみてもいいかな…？」
「はい、構いませんけど…？」
先月から始まったまやちゃんの新しいコーナー、のカツラに、興味があった私はちょうど話せる機会があったから頼んで被ってみた。
「うわー！似合う！！！」
「ほんと？ありがとう…！」
「お、そうだ！折角だからこれ被ったままこれから来るかずむを迎え入れたら？」
「それ良いですね！面白そう！」
ゆういちろうさんの提案にまやちゃんが乗る中で最初抵抗はあったけど聞いてるうちに私も悪戯心がでてきてやってもいいかなという気持ちになった。
「ただ被ってるだけじゃつまらないじゃん？
からだダンダンで頭と腰に指さす馴染みのあるポーズで迎え入れたらかずむも懐かしくて泣けてくるんじゃない？」
「クレッピーのカツラだから『ピー』って語尾付けるのもいいですね」
白熱する二人の提案に私にできるものなのかと少し心配にもなった。
でも冗談も言える今の私達なら「あづきさん何やってるんですかぁ！」って、笑ってくれるに違いないと考えた私は二人と線密なリハーサルをしてかずむくんを迎え入れることにした。 "タンタンタン"
しばらく声を潜めていた私達はドアにくっ付いて外廊下から聞こえてくる足音に集中した。
いくつかの靴の音を聞き届けてきたけど今聞こえてる靴はこの部屋に近付いてくる。
「(大丈夫？)」
「(じゅんびばんたんです)」
三人で顔を見合わせて頷くと、ゆういちろうさんとまやちゃんはそっとドアから遠くに離れ、私は一人そのままドアの前に立った。
そして靴の音はそこで止まりドアノブがまわって開かれると『バンッ！！！』と後ろで二人が持って鳴らしたクラッカーの音と匂いが派手に飛ぶ。
「久しぶり〜！元気にしてた？あづきお姉さん会えなくて寂しかったッピー☆」
でも結局恥ずかしかったから目を瞑ったまま笑って言って迎えた。
だけどそこにいたのは呆気に取られるかずむくんではないのがすぐに分かった。
「あづき、何やって・・・」
聞き覚えのある声。
目を開けなくても分かる。
まことさんだ。
私はからだダンダンでお馴染みのポーズのまま化石になるしかなかった。 「こんちわー、長期休暇ありがとうございました！…ってまことさん？」
開かれたドアから勢いよく入ってきたかずむの目の前には、椅子に座って手を軽く上げて会釈するまこと、同じく椅子に座って気まずそうにかずむから目を背けるゆういちろうとまやの姿があった。
「みんな暗い顔してどうしたんですか…？
あづきさんは何で向こうで一人体育座りして…？」
「・・・・・」
「・・・・・」
「まぁちょっと…そっとしといてやって」
ドアから一番離れた壁に向かって頑なに縮こまって顔を隠して座るあづきの氷が溶けるまでの間、
皆でかずむが持ってきた落花生チョコクランチを静かにゆっくり食べることに集中するしかなかった。
〈完〉 ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■ おかいつスレは下記のスレが先に立っています。
後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 梅雨がまだあけず紫陽花が主役のようにイキイキと咲き誇る日々。
外では雨があがった後、顔をしかめたくなるような蒸し蒸しとした暑さの世界がある中、ここだけはその世界とは無縁のようなエアコンがきいた涼しい世界で包まれていた。
「今日ね、けけちゃまの好物持ってきたよ〜」
「え〜何ケロ？何ケロ？」
「じゃじゃーん！！！コオロギ！！！」
「キャー！コオロギちゃま！大好物ケロっ！！！」
「公園で見つけて取ってきたんだ〜！良かったらどうぞ〜」
「食べてもいいケロか？」
「もちろん！私たち友達でしょ♡」
「まやちゃま、だぁいすきケロ♡」
「カットー！！！山田さん！フリーズしたままですよー！？」
続いてた会話は一人の男の声によって止まり、派手な色をした井戸の中から女性がゆっくり立ち上がって出てきた。
「すみません、コオロギにちょっとビックリしちゃって…。今少し休んでいいですか…？」
「大丈夫です？じゃ一旦10分休憩入りま〜す！」
と、さっき会話を中断した男が言うと、それぞれ持ち場から離れる者そのままいる者といた。
「どうかしました？」
「まやちゃん」
井戸に背にもたれてペットボトルの水を口にしていた山田を心配そうに声をかけるまやに一緒に井戸に背もたれができるよう少し横に寄って隣に座るよう促した。 「最近更に人形操演の仕事依頼が増えてるんですよね？疲れてます？」
「仕事が増えるのは有難いことよ。ただ…この前まではコオロギと仲良くなって一緒に音楽会開いたマブダチって話してたのに何で好物になってんのかしら？訂正有りの台本きちんと確認しなかった私が悪いんだけど」
「まぁ一応蛙ですからね」
まやが井戸の上でうつ伏せになったピンク色の蛙の人形をじぃっと見つめていると「SDGsへの取り組みなんじゃない？」と蛙の人形と同じくらい馴染みのある声が聞こえ、目の前に立つ声の主の方を見た。
「今話題のコオロギ食でしたっけ？それを強く押したいってスタッフと八木さんがついこの間まで熱く討論していましたよ」
「なるほど。けけちゃまの好物だとテレビの前の子どもたちに伝えてコオロギ食への偏見と抵抗を無くそうって魂胆…」
「あら、ゆういちろうくん。個室から出てきたの」
「ちょっと話したいことがあって、いたいた！八木さーん！」
作家の八木を見つけるとゆういちろうは急いで駆け寄り握りしめていた台本を開いて話を始めた。
「さっきカットがかかったちょうど前の台詞なんですけど、訂正しただぁいすきケロより、元のありがとうケロの方がいいんじゃないですか？」
「うーん微妙だな」
「何で？」
「そっちの方が喜ぶから」
「誰が？」
「テレビを観てる人達が。これに限らないと思うけど出演者同士で大好きって言い合っておけば有頂天になって喜ぶだろうからってスタッフの人達が。」
「はい、そろそろ本番入りまーす！」
山田と話をしたADがスタジオ全体に聞こえるよう大きな声をかけるとその声に応じてそれぞれが持ち場に戻って準備を始める。
皆にならって台本を握りしめたまま個室へ戻るゆういちろうの背をまやはじいっと見つめたまま見送った。 始まるといってもすぐにスタートするわけでもなくガヤガヤと煩い人の声やガタガタと動く小道具の音が騒がしく音をまだ立てていた。
まだ用意を始めてる様子をしばらく見ていたまやはスピーカーにそっと近づいた。
「(ゆういちろうさーん聞こえますかー？おーい)」
ゆういちろうが個室に戻ったか確認するようにでも他の人にあまり聞こえないよう目を配りながらささやくようにして小さく声をかけて確認した。
「(うん、聞こえるよ)」
「(さっき八木さんと話してたとき)」
「それぞれ配置についてー！！！」
「(周りの雑音で聞こえな)」
「(八木さんと)」
「さっき切れたけけちゃまアップのところから始めまーす！！！」
「(ヤギ？)」
「(ちょ、何呼び捨てしてるんですか！って私も定位置に戻らなきゃ)」
「では本番5秒前ー！4、3、2、1、・・・」
「(呼び捨てって絵葉書のあのヤ)まやちゃま、だぁいすきケロ♡」
収録が終わり楽屋へ戻った二人は、冷蔵庫から飲み物を取り出して本を読んだり、窓の外から見える厚い雲の空を見たりと過ごした。
「あづきさんとかずむん今頃秋田に着いた頃かな〜？神戸の出張楽しかったな〜あ」
雲をぼんやりと見ていたまやは、神戸へ行く予定だったかずむが怪我をしてしまった代わりにあづきと一緒に数日間現地に滞在したことを思い出し、今地方へ仕事に行ってる二人を羨ましがっていた。 「虫入ってくるから窓そろそろ閉めない？クーラーの冷気も少なくなるし」
「はーーーい」
ゆういちろうに言われ窓の淵に持たれかかっていたまやは窓をゆっくり閉めたあと立ち上がって冷蔵庫の方へと足を向けて歩いていった。
そしてその中からかずむが持ってきた平たい箱を取り出して蓋を開けると、
「一個しかない！？？」
「まことくんが結構食べてたからな。ああ見えて甘党だから」
「う〜ショック〜。あの時はあづきさんのことばかり頭一杯でチョコクランチの状況すら目に入ってなかった…」
「無駄なカロリーが体内に入らずに済んで良かったじゃん」
「酷っ！…。あの〜もしかしてさっきからちょっとピリピリしてます？」
まやは本から顔を離さないで喋るゆういちろうの後ろ姿に問いかける。
「八木さんとなにかありました？」
「べつに…」
「そうですか」
「ん？…！」
「何も無いならいいんです。この蒸し蒸しフェスティバルな暑さですし不快な気持ちにもなりやすいですよね」
後ろからガサゴソと小さな音が聞こえたゆういちろうは本から顔を離すと、まやがつま先を上げて戸棚から芋けんぴの袋を懸命に取り出そうとしながら喋り続ける後ろ姿があった。
そしてそれを静かに取って戸棚をそっと注意深く閉めた後、手にある菓子袋を見つめて満面の笑みで振り返ると「あ。」と言い、眉間に皺を寄せるゆういちろうを見てバツが悪そうな顔になった。
「それ凄い甘くてカロリー高い特注の芋けんぴだからしばらく食べないで奥に仕まうってはずだったんじゃ」
「お昼ごはんパン一個でお腹空いてたんですもん。。。というかこんな離れた所からよく気付きましたね！もしかして耳が良いのかな？」
「いつも耳掃除してるからな！全部食べてください！」
「いいんですか？ありがとうございます」 気遣う必要がなくなった芋けんぴの袋を派手に音を立てて開けたまやは一本一本カリカリカリッと美味しそうに食べた。
「まったくいつも幸せそうでほんと」
と、ゆういちろうが言いかけたその時、
足元に何か大きくて黒っぽいコオロギと似たような虫がササッと通るのを目にした。
そして素早く動いて止まったその先を見つめると、
「キャー！！！ゴキブリ！！！まやっ！
出番だぞっ！！！まや！まや！まやっ！」
床についていた足をさっとソファの上にあげて縮こまったゆういちろうは身震いしながらまやに助けを求めて呼んだ。
「んも〜。たかが虫一匹じゃないですか。」
口にした芋けんぴをカリカリッと言わせながら数枚重ねたティッシュを手にしたまやは床にいるゴキブリをさっと納めると、窓を開けて「自然におかえり」と言って逃してやった。
その後ティッシュはゴミ箱に捨て、最近スーパーで流れてるというよく分からない曲を鼻歌混じりに手を念入りに洗った。
「ありがとう…。この状況があつことだったら二人でギャーギャー騒いでるところだったよ。でもなんでゴキブリが？いつも綺麗に清掃してるのに」
「そこはゆういちろうさんが男なんだから虫一匹外へ出せるぐらいの根性は持ちましょうよ」
「あ、男なんだからって言葉よく無いんだぞ。NHKの目標の一つ多様化に」
「ゆういちろうさんだって私に女らしくと言って身振りをよく注意するじゃないですか」
口を尖らせながら言い返すまやの言葉に今度はゆういちろうがバツが悪そうな顔をすることになった。
それと同時に一年前まではそんな光景はなかったのにお互い相手に言い返せるほどの信頼関係を築けてきたのかなとも思った。 「僕たちもう二年目になるのか。早いなぁ。」
「もっと前から一緒にいる感じもしますね」
「それはどうだろう」
と、まやに返したものの、5年一緒に仕事をしてるあづきより長く居るような感覚はあった。
それはあづきもかずむに後に抱く感情だろうと思ったゆういちろうはふとあることを思った。
「僕は来年卒業できるんだろうか」
「そろそろ良い人見つかるんじゃないんですか？それに」
「それに？」
喉が渇いたまやは買ってきたペットボトルのジュースをグイッと飲み込んでまた話を続けた。
「花占いしたんです」
「花占い？」
まやは首を縦にして頷いて真剣な顔で言った。
「先月河川敷歩いてたら道端に季節外れた桜の花が落ちてたんで、その花びら一枚ずつ取ってゆういちろうさんの卒業を占ってみたんです。そしたら卒業だって。」
「桜って花びら5枚しかないから答え分かりきってるだろ。どうせやるならタンポポの綿毛一本も飛ばさないで占えよ」
「ええっ…」
ゆういちろうは自分の卒業についてどう思ってるかを聞きたかったが、少ない花びらで卒業の結果を出したというまやの話を聞いて心が少し寂しい気持ちになった。
年も離れているため短い付き合いになるだろうと始めは思っていたものの、同じ職種であるため誰よりも近くにいることが多く、二年目ともなると今では家族のように感じてもいたので、まやの本心に触れて気落ちしていく自分に内心驚いてもいた。
「ちょっと御手洗いに行ってくる」
「了解です」
沈んだ気持ちを変えようと思い楽屋から出ていくゆういちろうの気持ちも知らぬまま見送ったまやはテーブルに戻ってさっき食べてた芋けんぴを袋から出してまたカリカリッと音をたてて食べ続けた。 「うわ！もうこんな時間！」
ドアを開けると壁に掛けられてある時計をすぐ目にしたゆういちろうは短い針が3から4に変わってることに驚いた。
トイレで用を済ませた後ちょうど人形操縦士の山田が廊下を通りかかり、そこでそのまま世間話から人形の仕事に関する愚痴に二人で花を咲かせていたのであった。
その中で椅子に座ったままテーブルにうつ伏せになり動かないまやの姿があった。
少し冷りとしたゆういちろうは側にいってそっと顔を覗くと、まやはスースーと寝息を立てて眠っていた。
そして見下ろしたところから見える白い頬の片方には途中寝返りでもうったのか薄い跡のようなものがあり、袋からは芋けんぴ数個がテーブルまではみ出ていて、寝返りうつ前にたまたまくっ付いたのかまやの髪には芋けんぴが一つくっ付いていた。
起こさないようにそっと髪から芋けんぴを慎重に取ろうとすると頬に触れた。
突然柔らかい頬に触れた指はピクっと震える。
しかし、まやは疲れてるのか一向に起きず、気持ち良さそうに眠り続けていた。
「赤ちゃんみたい」
髪から芋けんぴ一つを抜き取ったゆういちろうはすぐ下にあるゴミ箱に捨てたあと、今も変わらないでいるまやの姿に唇を噛みしめて笑みを浮かべ、その姿を見続けた。
そして開かれたままの窓からは先ほどのゴキブリが這い上がってきて甘い香りが漂うゴミ箱の方に歩み寄っていた。
〈完〉 ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■重複スレ■
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後から立てられたこのスレは重複しているので削除して下さい。
https://nhk2.5ch.net/test/read.cgi/nhk/1636949310/l50 このおかあさんといっしょの姉妹番組でNHKのBSで放送されていた
あさごはんだいすきという幼児向け番組で、歌のお姉さんの美咲あゆむさんが
下半身はねずみ色の長いスパッツ（レギンス）を穿いて歌を歌っている
あさごはんだいすきの画像（動画）をお持ちの方は、このスレッドをご覧下さった方で
どなた様でも構いませんので、お持ちでしたらできるだけ早くこのスレッドか
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