信長御焼香に御出づ其の時の信長公 御仕立長つかの大刀わきざしを三五なわにてまかせられ
髪はちやせんに巻き立て袴もめし侯はで仏前へ御出でありて抹香をくはつと御つかみ侯て
仏前へ投げ懸け御帰る 御舎弟勘十郎は折日高なる肩衣袴めし侯てあるべき如きの御沙汰なり
三郎信長公を例の大うつけよと執執評判侯ひしなり
其の中に筑紫の客僧一人あれこそ国は持つ人よと申したる由なり