先月29日に新型コロナウイルスによる肺炎のため死去したタレント志村けんさん(享年70)が出演していたNHK連続テレビ小説「エール」(月〜土曜前8・00)について、同局が代役を立てない方向で調整していることが3日、分かった。
 撮影済みのものはそのまま放送する。それ以降について同局関係者は「台本を変更して、志村さんの役はナレーションをうまく使って登場させる形を検討している」と話している。
 エールは昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而さんをモデルとした作品。窪田正孝(31)が主役で、志村さんは日本を代表する作曲家・小山田耕三を演じていた。主人公が幼少期に手に取る作曲学習本の著者として
名前が登場するなど、大きく影響を与えた人物だ。5月1日に初登場する。

 関係者は「途中で志村さんから別の方に代わると、どうしても人物のイメージが変わってしまう。ここまで頑張ってくださったので、最後まで小山田は志村さんでいきたい」と話した。ナレーションを効果的に使い、小山田が手紙で
主人公に対してエールを送ることも検討されている。
 志村さんは昨年12月から撮影に入り、最後の撮影となったのは先月6日。既に10週分、50話以上を撮影していた。次回は今月10日に予定していたが、志村さんが入院した後には、いったん時期を遅らせる準備も進めていた。
復帰はかなわなかったが、志村さんのドラマの遺作として輝く作品になりそうだ。