盛岡高等農林学校在籍時に出会った一年後輩の保阪嘉内との間で、互いに「恋人」と呼び合うような親しい間柄になり、嘉内に宛てた書簡類では、親密な感情の表出、率直な心情の吐露が認められ、手紙に記された文面は、時にあたかも恋人に宛てたような表現になった。嘉内からは情緒的にも思想的にも強い影響を受け、とりわけ『銀河鉄道の夜』の成立には、20代の頃に嘉内と二人で登山し共に語り合って夜を明かした体験が濃厚に反映され、登場人物の「ジョバンニ」を賢治自身とするなら、「カムパネルラ」は保阪嘉内を表していると考える研究者もいる