スターリングラードはもはや街ではない。
日中は、火と煙がもうもうと立ち込め、一寸先も見えない。炎に照らし出された巨大な炉のようだ。それは焼けつくように熱く、殺伐として耐えられないので、犬でさえヴォルガ河に飛び込み、必死に泳いで対岸にたどり着こうとした。
動物はこの地獄から逃げ出す。どんなに硬い石でも、いつまでも我慢していられない。
人間だけが耐えるのだ。
神よ、なぜわれらを見捨て給うたのか!