●ニコライ(ロシア正教宣教師)1861

片田舎の農民を訪ねてみるがよい。政府について彼らが持っている
考えの健全かつ自主的であることに、諸君は一驚することだろう。
日本の民衆は、ヨーロッパの多くの国に比べてはるかに条件は良く、
自分たちに市民的権利があることに気がついてよいはずだ。
ところが日本人は、なお、はなはだしく不満であるというのだ!
商人はあれやこれやの税のことで不満を言い(実際にはその税は決して重くはないのだ)、
農民は年貢の取り立てで愚痴を言う。また、誰もかれも役人を軽蔑していて、
「連中ときたら、どいつもこいつも袖の下を取る。やつらは碌でなしだ」と言っている。
そして民衆はおしなべて、この国の貧しさの責任は政府にあると、
口をそろえて非難している。そうしたことを聞くのはなかなか興味深いことであった。