●アメリカ初代総領事タウンゼント・ハリス

将軍家定の衣装は絹でできていた。少々の金銀刺繍が施してあった。
だがそれは想像される王者らしい豪華さからは遠いものだった。

燦然たる宝石も、精巧な金銀の装飾も、柄にダイヤをちりばめた刀もなかった。

木の柱はすべて白木のままだった。火鉢と、自分のために特に用意された椅子とテーブルの他には
どの部屋にも調度の類はなかった。

私は、質素と黄金の時代を、いずれのほかの国におけるよりも、より多く日本において見出す。
生命と財産と安全、全般の人々の質素と満足とは、現在の日本の顕著な姿であるように思われる