>>39

検察は、東京理科大学理学部応用化学科教授の中井泉に、健治がかつて所持していたドラム缶入りヒ素や、
林宅の台所にあったヒ素、事件現場で押収された紙コップに付着していたヒ素等の鑑定を依頼した。
中井は大型放射光施設「スプリング8(SPring-8)」を使って、これらのヒ素が「同一である」という結論を導き、
真須美が自宅台所にあったヒ素を紙コップに移し入れて運び、カレー鍋に混入したという検察の筋書きを裏付けた。

しかし中井鑑定の「同一」とは、これらのヒ素が「同一の工場が同一の原料を用いて同一の時期に製造した
亜ヒ酸である」という意味に過ぎなかったのである。
当時、ヒ素は白アリ駆除のほか、殺鼠剤や農薬、みかんの減酸剤としても需要があり、和歌山市内だけでも
「同一の工場が同一の原料を用いて同一の時期に製造した亜ヒ酸」が、大量に出回っていた。