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 避暑地の代名詞、長野県軽井沢町が、コロナ下の首都圏の住民たちの「脱出先」になっている。日帰り観光だけでなく移住先にも選ばれ、人口の「転入超過」の幅では全国926町村のトップにたつ。地元ではコロナ感染拡大の不安も高まる。コロナと五輪と炎天の夏。軽井沢に集う人たちを追った。

 東京都の新規感染者が初めて4千人を超えた7月31日の午後。JR軽井沢駅の南側に広がるアウトレットモール前には東京、神奈川、群馬などのナンバーの車が次々とやってきた。
約3500台分ある駐車場が埋まっていく。東京の最高気温は32・5度を記録したが、ここでは26・2度。涼しい風が吹き抜ける。

 東京から家族で来た会社員男性(39)は滞在3日目だという。夏は海沿いのリゾートに行くのが常だったが、コロナの感染を恐れてこちらに来た。「近場だからいいかと思って」。夜はテレビで五輪を見て過ごしているという。

 埼玉県ふじみ野市から来た主婦(59)は、五輪サッカーのチケットがあたっていた。世界中の人が東京に集まる非日常を楽しみにしていたが、無観客に。「関心は薄れた」と言いつつ、結局は五輪中継を見て過ごしており、ふだんはコロナ感染を恐れて近所を離れずにいるという。この日は久しぶりの県外だった。