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戦争遂行中のあらゆる民族は、一九一四年においてはさなきだにすでに過度の興奮の渦中にあった。
最も悪質な風評がすぐさま真実に変り、最も馬鹿げた中傷が信じられた。
ドイツにおいて何十人という人々が、戦争勃発の直前に金を積載した自動車が
フランスからロシアに走ってゆくのを、自分の目で見たと誓うのであった。
どんな戦争においても三、四日目には早速起ってくる、目をくり抜かれたとか、切断されたとかいう荒唐な作り話が、新聞でいっぱいになった。
ああ、このような虚偽を受け売りする無思慮な人々は、敵兵に考えうるあらゆる残酷さの罪を帰する
技術が、弾薬や飛行機と同じように戦争資材のうちに入るものだということ、
それらはきまってどの戦争であっても最初の数日のうちにたちまち倉庫から持ち出されるものだということを、知らなかったのである。
戦争というものは、理性や公正な感情というものと同列には置かれないものである。
それは味方の事柄に対する熱狂と敵方に対する憎悪という、感情の高揚された状態を必要とする。