吉田が最も恐れた格納容器が決定的に壊れるという事態。それが起きなかった要因の一つは、放射能を密閉するはずの格納容器は、高温・高圧にさらされたら、容器の繋ぎ目や配管との接続部分が溶けて隙間ができ、放射性物質を漏洩させたためではないかとみられている。しかし、2号機の格納容器が決定的に破壊されなかったのは、それだけで説明できないいくつもの謎が残されている。例えば、7気圧あまりに高まった格納容器圧力が、なぜ15日昼前には、1.5気圧まで下がったのか。この間のメカニズムや放射性物質が格納容器のどこからどのように漏れたのか。その詳細は、事故から10年近く経っても、高い放射線量に阻まれてわかっていない。

さらに、格納容器を守る最後の砦のベントが2号機だけできなかったことにも謎が残されている。