原爆を知るまで僕は健康的で無邪気な17歳の若者だった。
しかし爆発の瞬間、僕は悪魔の存在を想い以前の自分では無くなってしまった。
この世は死の世界と幸福の世界からできている。それらは薄い膜で隔てられている。
僕はその膜を突き破り、死の世界を覗いてしまったのだ。
僕達は爆発の後前進し、強い放射能の中に入っていった。
この演習からまもなくして、僕の髪は抜け始めた。

                        ――原爆演習参加兵士の回想より