そこで、民法では、口約束のような書面によらない贈与については履行に着手しない限り、取り消すことができることとされています。
ですから、酒の席で成立した100万円の贈与契約も、酔いがさめてから「あれはなかったことにしてくれ」といわれれば、それで解消してしまうことになります。

書面に残した贈与契約は拘束力が強い

書面による贈与契約については、そうはいきません。
利害の反する者の間の取引では、必ず契約書を作り、署名押印しています。契約書を作成することは、それぞれの当事者の意思を明確にし、後日起こりがちな「言った」「言わない」のトラブルを防止する効果があります。
書面にした以上は贈与者の意思も明確なわけですから、一方的に取り消しを認めるのは、相手方の期待を裏切ることになります。
そこで、書面による贈与には、口約束のものよりも強い拘束力を与えることにしています