未契約者(テロップ消し申込者)をNHKが訴えた件の最高裁判決により、NHKが主張する「受信契約は、NHKが契約を申し込んでから2週間で成立する」という主張は退けられ、
「NHKが契約拒否する設置者を訴え、裁判所が、設置者に契約を承諾する判決を出し時点で成立する」という判断を示しました。
NHKが未契約者から受信料を徴収するには、一軒一軒個別の民事裁判を起こし、裁判所に「契約締結を承諾しなさい」という命令を出してもらうことが必須となりました。
憲法判断は、テレビ設置者に対して受信契約を義務とすることは合憲となりましたが、実質的なところではNHK敗訴とも言える判決です。


受信契約締結承諾等請求事件
平成29年12月6日
大法廷判決

主文
本件各上告を棄却する。
各上告費用は各上告人の負担とする。

以下抜粋。

◯放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり、原告からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には、
原告がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め,その判決の確定によって受信契約が成立すると解するのが相当である。

◯放送法が受信契約の締結によって受信料の支払義務を発生させることとした以上,原告が受信設備設置者との間で受信契約を締結することを要しないで受信料を徴収することができるのに等しい結果となることを認めることは相当でない

◯放送法は, 受信料の支払義務を,受信設備を設置することのみによって発生させたり,原告か ら受信設備設置者への一方的な申込みによって発生させたりするのではなく,
受信 契約の締結,すなわち原告と受信設備設置者との間の合意によって発生させることとしたものであることは明らかといえる。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf