ネット配信、スクランブル化が救いの手に? イギリス公共放送に迫る危機(2) Nov 22 2019
https://newsphere.jp/national/20191122-1/
若者のテレビ離れや高齢者のテレビライセンス料(日本でいう受信料)不払い宣言を前に、BBCはどのような
対策を講じているのだろうか?

監督機関にあたるオフコム(英放送通信省)は、16歳から24歳までの人々のうち過去1週間にBBCを視聴した
割合が半数未満に留まることを指摘し、危機感をあらわにしている。英フィナンシャル・タイムズ紙(10月25日)
によると、これに対しBBCは、視聴者層を広げるための「明確なプラン」があると余裕を見せているようだ。
BBCの秘策とは、すなわちインターネット経由のストリーミング放送の強化だ。同局はiPlayerの名で
オンデマンドの配信サービスを提供しており、これが若い層へのリーチを広げると期待を寄せている。
事実、音楽配信のBBC Soundsと合わせると、34歳以下の比較的若い層の利用率は昨年よりも20%ほど
向上している。

英UCA芸術大学で映画・メディア・舞台芸術学部の校長を務めるリンジー・ダシー氏は、カンバセーション誌
(10月21日)への寄稿記事のなかで、iPlayerの好調さを認めている。NetflixやDisney+などとの競争にさらされる
ことになるものの、ストリーミングビジネスに軸足を移すのも有効な選択肢の一つだとダシー氏は分析している。

では、料金面ではどのような改善が行えるだろうか? イギリスは受信料にあたるテレビライセンス料をBBCの
視聴の有無にかかわらず支払うシステムとなっており、これを不満に感じる人々が少なからず存在する。
前回お伝えしたとおり、これまで免除対象であった75歳以上の高齢者も課金対象とする方針をBBCは打ち
出しており、これがさらなる批判を招いていた。

風当たりが強まるなか、BBCが取りうる一つの選択肢は、サービス加入の任意化だ。英ガーディアン紙の
報道によると、ニッキー・モーガン英文化相は今年10月、Netflixのような任意加入制度の導入も検討の余地が
あるとの見方を示している。任意制度への移行に否定的だった従来の英文化庁の立場とは異なる見解だ。