――撮影で苦労したことは?

「いちばん大変なのは、やっぱりネコだから(笑)。ネコが『今は撮られたくない』と思ったら、カメラを向けても無理ですね。逆に彼らがノッてるときには、驚くほど撮れたりする」

――根気も必要ですね。

「僕は、ネコへの “思いの強さ” が重要な気がしています。大好きな相手なら、待っているという感覚がなくなるんですよ。『ネコだもんね』という気持ちになる。確かに、何時間もカメラを構えていることはあります。でもそれは、待っているわけではなくて、土地の匂いを感じたり、冷たい風が吹いたら『どこが暖かいのかな? ネコはどこに隠れているんだろう?』と想像していたり、ネコがいる環境を楽しんでいます」

――日本、とくに都会でネコを飼っている人から見ると、作品に登場する自由なネコたちを羨ましく感じます。

「完全室内飼いでも、ネコたちはけっして不幸ではないと思います。たとえ限られたスペースであっても、彼らは自由を獲得していますよ。
『ネコ歩き』では、よく外をパトロールするネコが出てきますが、家の中のネコもちゃんとパトロールしています。ただ、キャットタワーなどを置いて、上下運動だけは、できるようにしてあげてくださいね」

――では、かわいそうだと思わなくてもいい?

「もちろんです。大事なのは、比べないこと。そして、一緒にいてくれることに感謝すること。うちにもネコがいますが、僕は彼らによく言うんです。『ありがとう』、って」