今の日本の政党幹部の多く、特に「新党」と呼ばれる政党の幹部は、政治的指導者というよりも目の前の利益、
つまり当選者数を増やすためだけに奔走している「経営者」にすぎない。政党は「当選者」という利潤追求を目的とする「企業」のような存在となっているのである。
この場合、消費者は有権者であり、商品は国民的人気やカリスマ性のある党首、あるいは支持を得る目的でにわか作りされた「バラマキ政策」である。
そして、選挙の結果、思うような利益が上がらなければ、あるいは次の選挙を前に経営状態が思わしくなければ、あっさりと会社を売りに出したり、破産宣告してしまう。
政党の持続性は極めて脆弱なのだ。さらに社員に当たる議員の帰属意識は薄弱で、より待遇のいい会社に気軽に移ってしまう。それが有権者にとって裏切り行為であろうとまったく気にしないのである。
この10年余りの間、日本の政界はこうした特徴を持つ「企業化政党」が乱立している。古典的な定義に当てはまりそうなのは、独自の支持組織を維持して長く生き残っている「自民党」「公明党」「共産党」しかなくなってしまった。

東洋大学教授 薬師寺克行