せっかく、チャンネル銀河で放送が始まったのに書き込んでくれる人があまりいないのが寂しい・・・。

本日の第3回「黒船が来た」で、慶喜が「黒船が見たい〜。余は変装が上手だから大丈夫だから〜」とか言い出すんだけど、
家老が「拙者、腹を斬らねばなりません!」ということで断念。家臣の中根に「黒船を描いてこい」と言って送り出す(今
の大河だと、安易に慶喜がお忍びで見に行ったとかいう風にすると思うんだけど、そういう描き方をしないで「御三卿の当
主が外出するのは簡単ではない」ということをきちん入れててくるのがいい)。

それで中根は黒船を描くのだが、ちょうどそこに佐久間象山と吉田松陰がいる。そして中根の絵を象山がのぞき込むのだが、
「それは肝心なところが抜けている」と言って自分の望遠鏡を中根に見せて「砲門が上がっているでしょ?あれを描かない
と」と言うと中根は「いやそんなのどうでもいいでしょう」みたいなことを言う。象山は「砲門を上げているという事はい
つでも攻撃できるということ。そこを描かないと描いたことにならない」「黒船までの距離は半里はあるからこちらは攻撃
できない。向こうはいつ攻撃してもおかしくないという事」と言われて中根は絵を書き直す。で、象山は他にも黒船の細か
いことを喋っている(ここら辺の描写が、いかにもありそうに描かれてわざとらしくないのもいい。今の大河だと、主人公
の慶喜が象山と会って、すぐ意気投合するみたいな話を作りかねない)。

それで絵を描いた中根はその絵を帰って慶喜にみせる。「絵がうまいな〜」「拙者絵は誰にも負けません」みたいな話をし
て慶喜は「で、黒船の大きさはどれくらいだった?」と聞くが中根は具体的には答えられず、手を広げて「こーんなに」と
やる。慶喜は「この屋敷位あるのか?」と言うと中根は「もっと大きいかもしれません」で、慶喜は「そんなにあるの
かー」という。

録画をしていないので、細かいところはうろ覚えですが、こんな流れ。で、ここで分かるのが、中根は気が利かない、とい
うか慶喜が何を知りたいのか?という事をあまりよくわかっていないということ。そして海外情勢や兵学に詳しい象山と同
じものを見ても見えてるものが違うということ。「砲門が上がっている」という情報から「いつでも攻撃できる」というこ
とがパッと理解できる象山とそれを説明しなくては分からない中根では違いがある。しかも象山の話を聞いていれば「この
人詳しいなー」ということは分かるはず(勘の良い人ならば)、しかしそれが分かっていないし、恐らく慶喜は象山の言っ
ていることに興味を持ちそうなのに、中根はそこに全く気付いていない。だから帰って絵を見せる時にも象山のことを慶喜
には伝えていないし、「砲門が上がっているという事は相手はいつでも攻撃できる」というのは大事な情報なのにそれを伝
えてもいない。

だから使いをする人間の器量によって得られる情報は違ってしまう(ここで中根が慶喜に象山のことを伝えるというセンス
があったら、慶喜の知識は広がっていただろう)。こういう色々なことを考えさせる脚本、流石田向正建だと思うが、残念
ながらこういう風に本作を見ている人があまりいないというか探せない。長文スミマセン。