第8回「新婚生活」より

慶喜は登城日。「結婚おめでとう」の挨拶を受けたりしている。ナレーターのれんは「やることがない」と言うが、そこに
松平慶永(演、林隆三)が挨拶に訪れる。一般的に松平慶永は開明的な名君と言われるが、この作品の描き方だと「我らは
似た者同士。信用して下され」とか(こういうことを言うやつは普通信用できない)曲者というか何を考えているか分から
ないような所がある(この作品、何というか皆が「政治家」なんですよね。特に西郷隆盛なんかに感じますが、普通一般的
に言われる「徳があって、人望がある男」という描き方ではなく、「政治家西郷」という部分しか描いていない。恐らく徳
川慶喜という人が見た「西郷隆盛」はそういう印象だったろうと思われるので、「慶喜から見たらどう見えたのか」という
事を大切に作っている作品だと思う)。

ガンツム(演、山下真司)が新三郎にみよのことを話している。みよは病気の父のために旗本早川重吉の妾になっている。
みよが妾奉公できなくなると、病気の父が困るからあんたは別れてくれないかという話で。こういう庶民の苦しい生活をさ
り気なく入れてくるのがやっぱりいい。

続きます