>>242 より続き

平岡の画策に気付いてこういう形で釘を刺せるのだから、慶喜はそれなりに聡明で力量があるという事が分かるシーンにな
っている(ぼんくらなら気付かないからね)。

こういう風にさり気なく「その人の力量」を示すのがこの作品のいいところだと思う。今の大河だと「有力者に会って気に
いられる」ということでしか、その能力を示すことが出来ないというのが多い(「麒麟がくる」の光秀とか光秀とか光秀と
か)。こういう「その人の状況にあった能力の示し方」が分かる描写を見たいなーと思う。それこそ今の大河なら、慶喜が
老中阿部に会って「流石刑部卿どの!」と言われるとかいう描き方になりかねない所である。

その後慶喜は、直子と美賀が刺繡をしているところにやってくる。直子は慶喜が将軍継嗣になるうわさがあり、彼女は慶喜
にこのまま一橋家にいて欲しいと思っているようだが、美賀は「大奥を見たい」とか自分が将軍正室になり、我が子が次期
将軍になることに憧れている様である(まぁそれはそうだよね。一橋家の当主と結婚することが決まった時点で、将来将軍
御台所になる可能性があるというのは分かるだろうし)。

それでこの時の美賀の表情がいい。慶喜と直子が仲が良いのに、不安を感じていると言うか、モヤモヤしていると言うか、
不穏な感じが伝わってくる(その点に関して美賀は何も言っていないが、表情だけで伝わってくる)。

続きます